まじめなえひめ研究所、今回のテーマは離島でエコツーリズム!
瀬戸内の島々からなる上島町では、豊かな自然環境を地域ぐるみで活用し、その価値を保全していく取り組みが行われています。
今回そんな上島町エコツーリズムを、幼少期にはヨットで世界の海を渡り、また成人後はキャビンアテンダントとして世界中を飛んだ経歴の持ち主、駒崎クララさんが体験しました。
駒崎クララ
1982年生まれ。2005年神田外語大学外国語学部卒。
アシアナ航空にて2005年より客室乗務員として7年半勤務。
2013年に株式会社KoLaboを設立し、CA発信情報サイト「CREW WORLD」、転職支援「KoLabo Crew Concierge」等、航空業界経験者の可能性を広げるためのサービスを幅広く運営している。
趣味は能、ゴルフ
https://linkfly.to/kulara
しまなみ経由 因島から上島町へ上陸!
松山空港に到着した駒崎クララさん。ロケ隊一行は早速上島町へと車を走らせます。車はしまなみ海道を渡り、広島県因島へ。今回はフェリーで土生港(はぶこう)から、再び愛媛県の生名島(いきなじま)立石港(たていしこう)へと向かいました。約5分の船旅です。
愛媛の北端に位置する上島町へは、広島県因島から船で渡ることができます。その他今治港からも快速船があります。
ーー幼少期にフランスから地中海を出発し、大西洋やカリブ海を渡った経験のある駒崎さん。島々での思い出は?
駒崎クララ(以下、クララ):ヨットで港を渡っていくのですが、行き交う他の船から無線で船から情報を得たり、港で現地の方たちと交流したりしましたね。船員は両親と私と途中から妹だけで、幼い私がその役目だったんです。必要な外国語は母が教えてくれました。大人になってからも伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)に行っては、毎年イルカと戯れています
ーー世界の海で成長してきた駒崎さんに、瀬戸内海はどう映るのでしょう。
クララ:波が穏やかで本当に素晴らしいですよね。今回体験するヨットは砂浜に船底がつけられるそうですが、ヨットで世界航海中は沖の船からゴムボートや泳いで陸に上がっていて、後で船に戻るのが大変だったのを思い出しました。体験できるカタマランヨット(2つの船体を甲板で平行に繋いだヨット)はよく憧れていたので楽しみです!
地元の海産物たっぷりの昼食で腹ごしらえした駒崎さん。さっそく島内散策にぴったりのレンタルスクーターを体験します。
開放感あふれる島スクーター旅は「クララの休日」!?
ニュージーランド出身のマットさんと兵庫県出身のももさんが営むKAMIJIMA ADVENTURESで、スクーターをレンタル。走行中はマットさんがヘルメットについたマイクとスピーカーとを駆使して、上島町のおすすめスポットを案内してくれるのです。マットさんの流暢な日本語は、夜の居酒屋さんでのアルバイトで身に付けたとか。
マット:この島には元船長だった方も多くいて、オープンな気質があると思います。すぐに馴染むことができました
ふと全国初の海の駅である「上島町ゆげ海の駅舎 ふらっと」の屋根を見ると、そこには国際信号旗が。UW、「ようこそ、歓迎します/安全な航海を祈る」という意味です。この島がまさしく船の行き交う島であることがわかりました。
ちなみに国際信号旗は上島町弓削庁舎でも掲揚されていました。 ではいざ出発!海際の鳥居やマットさんも参加したというお祭りの山車などを見学し、ビュースポット大谷峠に到着した駒崎さん。
クララ:ここは子供たちのディンギー(客室を持たないヨット)の練習なんかにもいいですね!島々の眺めも最高です
さらには弓削島から佐島、生名島、岩城島へと4つの島を橋でつなぐ「ゆめしま海道」を渡りました。
クララ:スクーターは島に暮らす人の気分になることができていいですね!私は大学生の頃は原付で通っていたので懐かしいです。スクーターって『ローマの休日』みたいで、それも楽しいです(笑)
島の開放感に屈託なく笑う駒崎さん、まさしく『クララの休日』といったところです。
ゆげ海の駅舎ふらっと
〒794-2506 愛媛県越智郡上島町弓削下弓削203-1
電話:0897-72-9775
問合せ:yuge.seastation@gmail.com
営業時間:8:30〜17:15
瀬戸内海にゆったり浮かぶ、こだわりヨット体験
続いては駒崎さんお待ちかねのヨット体験。佐島にあるベースキャンプでは「島旅ヨット」の船長、サムさんが迎えてくれました。
サムさんはニュージーランド出身。実は彼の両親が先にヨット旅を経て上島町へ移住していました。後にニュージーランドから両親に会いに来たサムさんは、あまりの居心地の良さにここに住むことに決め、夢でもあったヨットを自作し、今では海の魅力を伝えるサービスを行なっているのです。
さらには、そんなサムさんを訪ねて上島町に移住を決めたのが、先ほどのKAMIJIMA ADVENTURESのマットさんとももさん。3人はニュージーランドで出会った友人でした。上島町の自然が人々をどんどん惹きつけています。
サム船長がこだわり抜いたカタマランヨットでいざ出航!
波を見極め、先ほどスクーターで渡った橋の下をくぐり、無人島へ上陸。砂浜から夕焼けを眺め、ゆったりとした時間を過ごすことができました。普段は船長おまかせプランや、夕焼けを眺めるプラン、無人島散策プランなどがあります。
クララ:砂浜がキレイですね、黄金の砂浜みたいです!
さてヨットは帰路に着きます。するとおもむろに船首に移動する駒崎さん。
クララ:私、ヨットでこうやって先に座るのが好きなんですよ。気持ちいいです 子供の頃から慣れ親しんだ海。風を浴びる姿が、なんとも様になります。エンジン音もせず、まるで海の上で時が止まったかのよう。
サム:本格的なヨット好きの方にはもしかしたらもの足りないかも知れませんが、もっと身近に海を感じてほしいですね。
コロナ禍の一旦落ち着いたこの夏には大勢のお客さんで賑わった「島旅ヨット」。まさしく地域一体となるエコツーリズムです。
島旅ヨット
〒794-2520 愛媛県越智郡上島町弓削佐島2804
問合せ:info@shimatabiyachts.com
離島エコツーリズムで感じる愛媛の「まじめ」とは?
体験を終えた駒崎さんに感想を聞きました。
クララ:もう、単純にめちゃめちゃ楽しかったです(笑)マットさん、モモさん、サムさん、皆、何かここから帰る理由をわざと作らないと、帰れなくなるほどの魅力を感じたんだな、と思います。
私もキャビンアテンダント時代に世界の色々なところを観光しましたが、どこに行くとしても、自然と人・動物と建物こそが観光だなと思います。旅行者の気持ちや覚悟次第で旅の魅力が増すので、その土地のストーリーや現地での交流など、心が動くヒントが多くあるといいなと思いますね。
愛媛の「まじめ」さですか? 私自身、幼少期をヨットで過ごし、ある意味海の上では自由さもあり、自分自身でルールを作る毎日でした。そのためあらかじめあるルールに憧れていたんです。大人になり、ルールの中でこそ個性が輝くというのが信条になったのですが、マットさんやサムさんをお迎えした愛媛は「まじめ」でルールがしっかりしているからこそ、彼らはルールの中で自由にできているのかな、と感じましたね
自由の元となる「まじめ」なルールや雰囲気が、愛媛らしさとして存在するのかもしれません。駒崎さん、ありがとうございました!
取材・文 皆尾裕