さいさいきて屋/SAISAI CAFE
今治市の直売所「さいさいきて屋」に潜入!
一貫して“農”や“食”を楽しむことができる施設を紹介します。
ライターの眞弓莉沙子です!
私は神奈川県出身なんですが、愛媛県へ移住してきて特に驚いたことがあります。それは、道の駅や直売所が多いこと。各市町、それぞれに地域の特色があり、愛媛県内の道の駅や直売所を巡るのが趣味のひとつになりました。
さまざまな場所を回った中でも、今、特に盛り上がりをみせている直売所が今治市にあります。
今回は、今治市にあるJAおちいまばりの直売所「さいさいきて屋」と直売所に隣接しているカフェ「SAISAI CAFE」をご紹介します!
苦労はあれど、強みもある人気直売所の本音
2007年4月にオープンしたさいさいきて屋は、新鮮な地元の農産物がお手頃な価格で手に入る直売所の他に、地元食材を使ったメニューを楽しむことができる食堂やカフェが併設されています。
2024年1月には、来客数が1500万人を突破。1日に約3000人来場する、県内の中でも人気が高い直売所となっています。
直売所の中に入って驚くのは、その広さ!そして、こんなに広いにも関わらず、所狭しと並べられている野菜や果物の数々です。取材を行ったこの時期は、ちょうど白菜が旬。その売り場を見てみると、見たこともないくらいの立派な白菜がずらりと並んでいます。
豊富な品揃えのさいさいきて屋を支えている、JAおちいまばり 直販課 課長の吉田敏彦さんにお話を伺います。
眞弓 2024年1月17日に来場者数が1500万人を突破したというニュースをちょうど目にして、さいさいきて屋さんはものすごく大盛況だなと感じたのですが…
吉田さん だけど、今は相当苦労していますよ。正直な話。コロナの1年目がここ最近でお客さんが多かったような気がします。 やっぱりみんなが外に行かずに、家でご飯食べようということで、あの時が1番、ぐっと伸びたかな。
眞弓 あの頃は、みんなお家で料理したりしていましたもんね。
吉田さん コロナの流行が収束に向かうにつれて、お客さんがじわっと少なくなって。特に去年1年間の売り上げを見るとほんとに今1番苦労している。前年割れ、前年割れでずっと来ているから、今1番しんどい。
だから今回、この1500万人のイベントで少し戻ったらいいよねとは思うけど、どこまで戻るか。
大体朝、僕はお客さんへの朝の挨拶をしながらカウンター持って、買い物カゴを渡すんやけど、普通150人から200人なんですよ。でも年が変わって1月から50人並ぶのが精一杯。
眞弓 いいニュースを聞いたばかりだったので、上向きなんだと思っていました。
吉田さん だから、今回のこの1500万人のイベントがこの時期にできて、僕たちとしては良かったなと。
お客さんが少しずつ減り、売り上げが伸び悩んでいるという、厳しい現実と向き合い日々の営業を続けているそうですが、直売所だからこその強みもあります。
眞弓 そんな中でも、さいさいきて屋さんの強みというと、お手頃な価格で新鮮な地元野菜が買えたりすることかなと思うんですが。
吉田さん スーパーで買うよりは安くて新鮮なのは間違いないですね。ものの良さはいいのかなと。その新鮮な野菜や果物を使った食事が楽しめる食堂があり、カフェがあるというところは強みですね。
眞弓 カフェも何度か来たことがあるのですが、その時に旬のフルーツがたくさん使われていて、次の季節はどんなフルーツのスイーツに出会えるんだろう、と毎回新鮮な気持ちで立ち寄ってしまいますね。特に、いちごのスイーツが看板商品なのかなと思うのですが。
吉田さん そうですね。今では看板商品のいちごスイーツに使っているいちごは、農家さんが摘んだものを翌日に届けてもらうという、農家直送のスタイルになっています。その他のスイーツに使われているフルーツも鮮度を見ながらいいものを入れていくようにしています。
眞弓 カフェのスイーツは、味はもちろんのですが、見た目も華やかで、見るだけでワクワクしてきますよね!
味も見た目も◎新鮮フルーツのスイーツに舌鼓
吉田さんのお話を聞いていたら、ぜひカフェのメニューを食べてみたくなりました!というわけで、カフェでいただけるメニューをご紹介します。
「SAISAI CAFE」では、地元の野菜や果物を使ったパンやスイーツを販売しています。
取材を行ったこの時期は、いちごが旬ということで、ショーケースにはいちごのスイーツがズラリ。
パンもたくさんの種類が並んでいます。SAISAI CAFEのパンは、毎日仕入れている直売所の野菜やフルーツをたくさん使っているそうで、直売所に隣接しているカフェらしさのある商品を楽しむことができます。
今回は、ピザトースト、季節の野菜ピザ、季節のデニッシュをチョイス。カフェのイートインスペースでいただきます!
季節のデニッシュは、旬のフルーツを使用していて、こちらでもいちごが使われています。
甘さ控えめのカスタードクリームが、いちごの甘さを引き立てていて、さらにサクサクのデニッシュ生地の食感とあわさって、とってもおいしい!
ピザトースト、季節の野菜ピザも、ふんだんに野菜が使われていて、すごい満足感!どのパンも、野菜やフルーツが主役になっています。
続いては、ショーケース並んでいたいちごスイーツをいただきます!
いちごタルトといちごマウンテン、そしていちごスムージも追加注文。まさに、いちごパラダイスです。
いちごマウンテンは、スライスされたいちごが表面に並べられていて、しっとりとしたスポンジとほんのり甘いクリームがいちごとマッチします。対して、いちごタルトは大粒のいちごがゴロゴロとタルトの上に乗っていて、いちご本来の味が生かされています。いちごスムージーも、一口飲めば口いっぱいにいちごの風味が広がります。
おいしいパンやスイーツを堪能したところで、SAISAI CAFE店長の古川志織さんにお話を伺います。
眞弓 SAIASAI CAFEさんでは、季節ごとに旬なフルーツを使ったスイーツを提供していると思うのですが、特に人気が高いスイーツはなんですか?
古川さん やはりいちごが一番人気ですね。今の時期、ショーケースが1番かわいいと思います。いちごがない時期にも、お客さまからいちごスイーツがないか質問があったりします。あとはマスカットも同じくらい人気があります。
眞弓 今回、いちごのスイーツでは、いちごマウンテンといちごタルトをいただいたのですが、こだわった点などはありますか?
古川さん マウンテンとタルトは、オープン当初からある商品です。当初からは改良をしているのですが、いちごが主役になるように、クリームを甘さ控えめにしてみたり、といった工夫をしています。味も見た目も、フルーツが前面に出るように意識していますね。
それから、いちごは大三島産のあまおとめを使用していて、農家さんから直接仕入れを行っています。市場から仕入れたりすることもあるのですが、そうなるとお店に届くまで2、3日はかかってしまうので。
眞弓 大三島産のあまおとめは、どんな特徴がありますか?
古川さん やっぱり甘いですね。あと、作る側からすると形も大事になってくるんですけど、大きさもきちんと揃っているし、断面がきれいなので、飾り付けるにも使いやすいです。私たちが理想とするいちごです。
眞弓 普段のお店の営業の中で、大切にしていることは何かありますか?
古川さん フルーツを1番おいしい状態で食べてもらえるようにすることですかね。ここに来たから食べられたと思ってもらえるような商品作りを心がけています。
眞弓 今後はどんなことに挑戦してみたいですか?
古川さん この2、3年でだいぶ新商品を出してきたんですが、どうしてもマウンテンとタルトがメインというイメージが強いので、新商品を出しているというアピールもできればと思っています。
眞弓 最後に、古川さんにとって”まじめ”とはなんでしょうか?
古川さん 日々、1つ1つのことを一生懸命にこなしていくことかなと思います。わからないことにもわからないなりにも挑戦してみる、ということだと思います。
野菜やフルーツが主役のメニューが楽しめるSAISAI CAFE。新鮮な農産物を使うからこそ、見ているだけでおいしさが伝わるようなスイーツやパンを提供できるのだと思いました。
農家と消費者の橋渡しをさいさいきて屋が目指す直売所とは
さいさいきて屋で楽しめるのは、食べ物だけではありません。
カフェの隣にあるお花屋さんは、母の日には県内外からお客さまが殺到するほどの人気店。こちらのお花屋さんは、コロナ禍にお客様が農産物を買うのと同時に、切花を買っていくことに吉田さんが気づき、松山市から呼んだお店だそう。西日本一の品揃えを目指してほしいという吉田さんのリクエストに答えて、幅広い種類の植物が揃っています。
眞弓 産直市場でお野菜を買ってお家でそれを楽しむだけじゃなくて、食堂やカフェでも今治の食材が楽しめて、お花など植物も楽しめるので、さいさいきて屋に来たら、農産物を一貫して楽しむことができるところが魅力的ですね。
吉田さん 五感で楽しむ、ということ狙ってやっているので。
眞弓 まさに農産物のテーマパークですね!
また、さいさいきて屋では、希望者に農園を貸し出す「さいさい農園」も運営。農業を営む方の高齢化が懸念される中、40代、50代の方でも気軽に農業を楽しめるよう、「土日百姓しませんか?」というコンセプトの元、農家の方の育成も行っています。
農産物を販売するだけでなく、今治市の農業の未来を考えた活動も実施しているさいさいきて屋。そんなさいさいきて屋が、日頃から大切にしていることや今後の目標は一体なんなのでしょうか?
眞弓 このさいさいきて屋を営業していく上で、大切にしていることはありますか?
吉田さん やはりお客様に楽しんでもらえる、というのが1番かな。それにプラス、やっぱり後ろには農家さんがいるので、農家さんが困らないようにお客様を呼び込むことかな。やっぱりさいさいきて屋に来るお客さんが遊んでいただける、楽しんでもらえるっていうのを1番に考えながら、農家さんも笑顔で帰れる環境作りをやっていきたいですね。
眞弓 さいさいきて屋さんは、農家さんとお客様の橋渡しになっているんですね。今後、挑戦してみたいことや目標にしていることなどありますか?
吉田さん 愛媛県って、直線10km圏内で道の駅や直売所が必ず1つはありませんか?それくらい、愛媛県は道の駅や直売所がたくさんあって、すごいと思うんです。
そんな激戦区の中でどうやっていくかだけど、愛媛県にみんなが来て楽しいよねって思う環境になっていくことはとても大切だと、僕は思います。道の駅や直売所が、農家さんが盛り上がる場所だというふうに考えて、みんなでタッグを組みながら、売上アップしていけたらなと思っています。
眞弓 最後に、吉田さんにとって“まじめ”とはなんですか?
吉田さん 正確に素直に生きる、かな。ストレートに、思ったことはスピード感持ってやりこなしていくので。無理だと思ったら、すぐに切り替えるし。スピード感を持って、どれだけやれるかというのが大事かなと思います。
ただ、新鮮な野菜や果物が買えるだけではない、農作物を作るところから食べるところまで、一貫して五感で楽しむことができる、さいさいきて屋。
ぜひ皆さんも、今治にお越しの際はさいさいきて屋で今治の“食”を楽しんでみてください!
さいさいきて屋/SAISAI CAFE
さいさいきて屋
愛媛県今治市中寺279-1
電話:0898-33-3131
営業時間:9:00~18:00
定休日:1月1日~1月3日
SAISAI CAFE(さいさいきて屋内)
電話:0898-35-3671
営業時間:10:00~17:00
定休日:1月1日~1月3日