島の郷土料理が味わえる “ええじっか”

映日果(えいじつか)

宮窪のお母さんたちが手作りする故郷の味と、島の新しい魅力の融合。
“みんなの実家”となりえる温かいお食事処が、今治にあります。

いつもまじめしを見ていただいている人は初めまして。
初めてまじめしをご覧いただいた方は、見つけていただき幸甚の至りです。
まじめなえひめ研究所メンバーの中村といいます。今治の者です。

今回は、以前まじめしInstagramライブで取材したイベント「カレイ山山頂BANQUET」のご縁からお話を頂き、今治市の大島、宮窪町にあるお食事処「映日果(えいじつか)」さんにお邪魔しました。

★Instagramライブの様子はコチラから>>

宮窪ならではのお店と家庭の味

皆さんをお店にお連れする前に、ちょっとばかり宮窪のご紹介を。
しまなみ海道が通る、3つの大きな今治の島のうち、四国側に最も近いのが大島。その島の北半分が宮窪町、「石」と「海賊」のまちを謳う地域です。

前知識をつけていただいたところで、いよいよ、店内へご案内します。

おしゃれ~
モダンな感じもシックな感じもするというか、おしゃれなのに妙に落ち着くというか、どこか一言では呑み込めないような独特な雰囲気が出迎えてくれました。
内装は、建築学を学んでいた女子大生がデザインしたとのことです。お店の奥からは、何か作業をしているお店の皆さんの声が聞こえてきます。

花崗岩の模様が映える面白いテーブルもあります。
大島は大島石という立派な花崗岩の産地でもあります。「石」のまちの所以ですね。このテーブル、実は売り物なのだそう。座って食べていたお父さんもいましたが。

それでは、私もお食事です。

名前からしてどれもふるさとの料理という感じがして、すごく気になる料理ばかりです。
宮窪にはカレイ山という山があるんですが、カレイ山カレー……ふーん。

今回は、鯛だしを使っているという「カレーうどん」と、「えび味噌にぎり」を頂きます。

カレーうどんのかまぼこにプリントされた鯛がかわいらしいですね。

うどんは自家製とのこと。
少し縮れた麺で、ドロッとしたカレーが麺にたくさん絡みつきます。

辛めです。普通のカレーの中辛よりは辛いです。…と思ったのですが、辛さが全然後に残りません。これが鯛だしの効果なのでしょうか。何かまろやかさも感じるような気がします。レモンが入っているので、さっぱり感もひとつまみ。すぐに辛さにも慣れて、どんどん箸を進めます。
美味い美味い。

一方のえび味噌おにぎり。割ってみました。
何も考えずうまいうまい言っている私とは真反対の、みその詰まり様です。その点エビみそおにぎりってすげぇよなって感じです。

えび味噌はかなり濃い味ですね。とてもご飯が進む味。おかげでそのまま、するするっと平らげてしまいそうです。思えば味の濃いものがご飯の上に乗っているのって超合理的ですよね。一瞬でカロリーが爆盛です。
美味い美味い。

↑お土産になっているえび味噌

ちなみに、このえび味噌は麦味噌です。全国的には米からできた味噌が一般的ですが、愛媛県では麦味噌が昔から広く使われてきました。なので、小エビが混ぜられていることも相乗して、とても香ばしいです。私は慣れ親しんだ味ですが、県外の人にとっては、普段とはまた違う独特の風味を味わえる人も多いのではないかと思います。

そして後から聞いた話ですが、このえび味噌おにぎりは「海賊むすび」とも呼ばれているとのこと。
海賊のまちを謳う宮窪、ここ周辺には、かつて村上海賊と呼ばれる一族が暮らしていました。瀬戸内の激しい潮流を制し、戦国時代の海上交通を整備した者たちです。その時代からの郷土料理としてあるようでして、代々受け継がれてきた味と歴史に思いを馳せながら海賊むすびを頂くのもいいかもしれませんね。村上海賊のこと語ると超脱線するので、詳しくはググってください。ポータルサイトあるから(宣伝)。

このまちの魅力は掘るほどに出てくる

食事終わり。
ここからは、このお店を営むNPO法人能島の里の皆さん(藤本さん、織田さん、越智さん)と、能島の里さんと協力してまちづくりをしている、今治市地域おこし協力隊の青野さんからお話を伺います。

中村:どれも個性的でありながら家庭の味を感じるお食事ですが、メニューやお店はどのような経緯でできたんですか。

能島の里の皆さん:元々の始まりは愛媛国体でした。(大島も会場で、)全国から人が一杯いらっしゃるのに、近くにレストランがない状態だったので、運動公園近くのここでカレーの提供から始めました。もともと別のお店で人気なカレーを出していたこともあって、理事長がそう提案したんです。
その後、元々この施設にあった製麺機を活用して、カレーうどんにしてみました。宮窪でずっと使われてきた鯛だしと、昆布とイリコ(煮干し)だしを合わせて、独自のアレンジをしました。
それに、メンバーに漁師の奥さんがいまして。彼女が郷土料理のえび味噌をずっと昔から作っていたので、それもメニューに入れてみたらどうだろうと、簡単な発想でした。
今ではえび味噌は、ギフトになったりするぐらいになりましたね。
とにかく、なるべく地元のものを使いながら、あるものを使って無理のないように、でも来てくれた人に喜んでもらえるように工夫しています。

中村:皆さんの経験やアイデアで、今に至るんですね。

能島の里の皆さん:えび味噌はうんと昔から、祖母がして、母がして、と受け継がれてきているんですよ。

青野さん:DNAに刻み込まれているような感じ(笑)。

中村:ではもう一つ、お店の名前にもなっている「いちじく(=映日果)」についてもお聞きしたいです。お店の名前もすごくお洒落ですが、これはどなたの考案ですか。
※店名はいちじくの漢字表記の一つ「映日果」と「良い実家」のダブルミーニング。

能島の里の皆さん:店名を決めたのは、建築家の伊東豊雄先生や、建築を学ぶ女学生の方々でした。女学生の皆さんは、研修も兼ねてここのお洒落な内装も手掛けてくれました。
いちじくは、宮窪のどこの家も庭先にも植えられていたものだから、理事長がよくいちじくの話をしていたんです。それで、皆さん考えてくださったんだと思います。

中村:いちじくも商品にされていますよね。

青野さん:黒いちじくをジャムにして販売しています。理事長がよそで食べた黒いちじくがすごくおいしかったということで、こっちでも育て始めたそうです。
糖度が日本いちじくより5度ぐらい高いんで、ジャムにすれば砂糖や添加物の量は大分減らせます。使っている砂糖もオーガニックシュガーなので、最近のオーガニック需要にも寄り添ったものにしています。

↑お土産になっている黒いちじくジャム

中村:ジャムのおすすめの使い方はありますか。

能島の里の皆さん:もちろんパンのお供にしてもらえますが、ヨーグルトにかけて食べると、甘みとヨーグルトの酸味が合わさって美味しいです。

中村:特産品としてとても珍しいと思いますし、これからもぜひプッシュしてほしいです。

能島の里の皆さん:こういうものを通じて、とにかく地元の産業につながっていけばいいなと思っています。

青野さん:島のモノで、島の人たちが、手をかけ時間をかけ手塩にかけて作っていること、これが一番の強みだと思っていますし、単純に製品化して売って終わりではなく、島の力で、少しでも地域をよくしたいという気持ちがあります。
例えば、黒いちじくの産地化。商品がちゃんと県外にまで届いて利益を上げられれば、知名度を上げられるし、そうなれば多分自分もやりたいって人が出てくる。今でも苗をわけてくれという声が上がっています。こうして広がれば、観光などにもつながって、力を使えるようになると思います。そういう意味も込めて、地方創生を前提にやっています。

えび味噌と黒いちじくジャムのギフトセット。県外向けに展開していくために、学生さんのデザインでパッケージを一新したそう。箱が可愛らしい。

中村:最後に、皆さんにとって“まじめ”とは何でしょうか。

能島の里の皆さん:基本を大切にすることですね。出汁を取るところから、一歩一歩を大切に、日々を過ごしています。

青野さん:後は団結力。買い出し一つでも皆でコミュニケーションをとってやっているという印象です。

能島の里の皆さん:小さなところなので、皆で協力しないとね(笑)。

皆さんのお話からも、まじめに地域の暮らしのことを考えていらっしゃるように伺えました。宮窪で受け継がれてきた伝統や経験も、新しい発想もどんどん取り入れながら、このお店は形作られているようです。
お店に入ったときから感じた独特な雰囲気は、皆さんの温かい心の表れでした。

映日果(えいじつか)

愛媛県今治市宮窪町宮窪3543番地
電話番号:0897-72-8400(営業時間内)
営業時間:10:30〜16:00 (L.O.15:30)
定休日:火・水曜日(月は予約のみ)

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