“愛媛みかん発祥の地”で出会う美味しいみかん
南四国ファーム/吉田きなはいや
南四国ファームってどんなところ?
みかん作りに込めた“まじめ”を調査!
こんにちは、まじめしライターの野本鈴夏です。
愛媛といえば、やっぱり柑橘!
「冬になるとこたつの上にみかんがないと落ち着かない」という方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、そんな「愛媛の柑橘」を心ゆくまで満喫できるスポット!宇和島市吉田町にやって来ました。実はこの吉田町、みかんの名産地として知られているだけでなく、なんと 「愛媛みかんの発祥の地」とも言われている場所。


200年以上前から続く柑橘栽培の歴史があり、今もなお、土地の風土と人の手が織りなす“南予のみかん文化”が息づいています。そんな柑橘の町で、観光みかん園や加工場、そして地域の人に親しまれる直売所を運営しているのが南四国ファーム。
ここに来れば、季節の味わい、作り手の思い、そして吉田町の歴史まで、一度にめいっぱい楽しむことができます。
農家グループから始まった、南四国ファームの歩み
南四国ファームは、もともと農家のグループから始まりました。
みかんの価格がなかなか安定しない時代に、「自分たちの力で販売していこう」という思いを持った、南四国ファームの現在の代表取締役・清家寿章さんのお父さま世代の方達が立ち上がったのが原点です。
「直売所も掘っ立て小屋で、本当に手作りなんですよ」と、清家さんは笑います。
お客さんが鮮度の良い美味しいみかんを買いやすいように。そんな思いで建てた直売所が「吉田きなはいや」。「きなはいや」は南予の方言で「来てください」。名前からして、地域の温かさがにじみ出ています!



今では、もうひとつの直売所「きなはいや三万石」も構え、柑橘の全国販売やネット販売も本格的に行うようになりました。店頭には柑橘だけでなく、その日の魚や惣菜、お弁当も並び、地元の人の台所としても頼られる存在になっています!
斜面に広がるみかん畑で、秋のご褒美体験
南四国ファームの秋の人気といえば、みかん狩り。直売所で受付をした後、車やバイクで園地に向かいます。送迎サービスは行っていないので、ご注意ください!
園地に足を踏み入れると、視界いっぱいにみかんの木が並び、あちこちにみかんが実っています。


清家さん曰く、みかん狩りにはちょっとしたコツがあるとのこと。みかんは上の方から熟してくるため、まずは木の上部をよく見て、オレンジの色が濃い実を選ぶと良いのだそう!
ハサミで切る時は1度にざっくりと切るのではなく2度切りをします。持ち帰ったときに他のみかんを傷つけないためです。
最初に果実から1cm〜2cmほど離して切り、次に残ったヘタを果実のすぐ近くで切り落とします。


みかん狩りは1時間の食べ放題で、みかん好きには堪らない!早速ですが、収穫したばかりのみかんをいただいてみましょう。


甘みの中にきゅっとした酸味も感じられ、思わず「もうひとつ」と手が伸びる美味しさです!
私は冬になると手が黄色くなるまでみかんを食べちゃうタイプなので、気づけば片手にハサミ、もう片手にみかん、という“無限ループ”が始まってしまいました。
採れたてをその場で味わうと、同じみかんでも驚くほど風味が違うんです!皮を剥くと爽やかな香りがふわっと立ちのぼって、食べると果汁がじゅわっと広がる…。
これこそ、みかんの町・吉田町ならではの贅沢だと改めて実感しました。
観光バスも入れ、平坦な園地は通路も歩きやすく整備されているので、小さなお子さんやご年配の方でも安心して楽しめます。
園地は奥まで100mほど続き、子どもなら走り出したくなる広さ!

みかん狩りが楽しめるのは例年10月中旬から11月末まで。12月に入ると、今度は農家さんたちによる本格的な収穫作業が始まるため、観光での収穫体験はそこで終了となります。秋の短い期間にぎゅっと詰まった旬の体験です!
南四国ファームでは、みかん狩りのほかにも季節ごとのフルーツ狩りを行っています。春には河内晩柑、初夏から夏にかけてはブルーベリー狩りが楽しめますよ!
実際に自分の手で収穫し、その場で味わう。単なる「観光」とは少し違う、その土地の暮らしに触れるような体験ができるのも、この園地の魅力です。
夏場の仕事をつくるために生まれた冷凍粒楽みかん
冬がメインシーズンのみかんですが、南四国ファームは「旬が終わった後の時間」にも目を向けてきました。「みかんって、このシーズンだけじゃないですか。人を雇っている以上、夏場にも仕事が必要なんです」と清家さん。そこで考えたのが、冷凍みかんの生産でした。
ただ皮をむいて冷凍するだけではなく、「どうやったら生の美味しさに近い状態で届けられるか」を徹底的に考え、議論と試作を重ねたんだそう。丸ごとの冷凍みかんを作っているところは他にもありましたが、南四国ファームが選んだのは、ひとつずつ手剥きしてから冷凍する方法でした。
手間はかかるけれど、それが自分たちのこだわりを伝えることに繋がると、食品添加物を使わずに仕上げたのが「冷凍粒楽みかん」です。
この冷凍粒楽みかんが、ある年にXで大きな話題になったのだそう!購入したお客さんがおすすめとして紹介してくれたのがきっかけだったのだとか。
清家さん:その年はみかんの出来もとびきり良かったので。一晩で一気に注文が入って、在庫が空になるほどでしたね。
1度だけでなく、少し間をおいて2度目の波も来たのだそう!現場はうれしい悲鳴を上げながらも、発送に追われる日々。それでも、「自分たちの選んだやり方で作ってきたものが、こうして届いている」と実感できる出来事だったそうです。
気候変動と向き合いながら、今年のベストを届ける
野本:大変なことはありますか?
清家さん:みかん作りというのは、こちらの思い通りにはいきません。近年は、気候変動の影響も大きく受けています。気温が上がり過ぎて、実がうまく育たないこともあります。全国的なカメムシの大発生で、大きな被害が出た年もありました。

野本:思い通りにならない自然と向き合いながら、その年なりのベストを探っていくんですね。吉田町のみかんの美味しさの秘密は何かありますか?
清家さん:吉田町の土は、肥持ちの良い土壌なんです。肥料の成分が流れにくく、肥料もちがいいと言われる土壌です。そこに、宇和海からの反射光と温暖な気候が合わさることで、深みのある味わいのみかんが育ちます。
そんな清家さんの考える“まじめ”とは?
野本:それでは、清家さんが考える“まじめ”とはなんですか?
清家さん:親から引き継いだものを、そのままにせず、今の時代に合う形へと整えながら続けていくことですかね。“地域あってのみかん作り”ですし、“歴史あっての畑”だと思っています。私がここに戻ってきたときには、すでに先人たちが築いてきた環境があって、ある意味ではとても恵まれていました。
それに親から引き継いだものを、そのままにせず、今の時代に合う形へと整えながら続けていくこと。特別なことをしているわけではありませんが、先人たちがつないできた畑や想いを、今のやり方で丁寧に受け継ぐ、そんな感じです。
苦労は多いですが、まだまだみかん作りを続けていきたいです!

人口減少が進み、小学校が統合されていく現実にも触れながら、「ここで次の世代にバトンを渡せたらいい」と語る姿が印象的でした。
清家さん:みかんのない冬は寂しいですし、みかんは国民食だと思っています。手軽で、どこか懐かしくて、冬の風景の一部になっている。だからこそ、これからも作り続けていきたいですね。
先人たちから受け継いだ畑や地域と向き合いながら、これからもみかん作りを続けていくこと。清家さんのその素直で飾らない言葉には、この土地で育つ柑橘の味わいがそのまま重なっているように感じました。

みかん狩りを楽しんだ後は直売所「吉田きなはいや」へ
みかん狩りが楽しめるのは11月末までですが、南四国ファームの楽しみは、みかん狩りだけではありません。
南四国ファームが運営する直売所「吉田きなはいや」には、そのときどきの柑橘類が1年を通して並びます。


店内には地元の畑で採れた野菜や、毎朝愛南町から届く新鮮な魚、柑橘を使った加工品、手作りのお惣菜やお弁当などがズラリ。


その中でも私が気になったのは、南四国ファームが作る「果汁たっぷりゼリー」!
愛媛県産の柑橘100%ストレート果汁を使用していて、清見やはるか、ポンカンなど豊富なラインナップです。


せっかくなので実食。どれも気になりましたが、私はみかんをチョイスしました!

ひと口食べた瞬間、みかんそのものの甘みと香りがふわっと広がります。ストレート果汁ならではのフレッシュさで、甘さも酸味もバランスがよくて爽やか!
名前の通り、「きなはいや=来てください」と優しく呼びかけるような直売所。季節ごとに並ぶものが変わっていくので、何度訪れても新しい出会いがあります。
愛媛の柑橘を満喫するなら、南四国ファームへ
みかん畑での収穫体験や、夏場にも楽しめる冷凍みかんやゼリー、そして、1年を通して地域の美味しいものが集まる直売所。
南四国ファームは、「みかん作りと地域の産業を次の世代につなげる」という理念のもと、今日もまじめに、柑橘と向き合っています。
みかん狩りのシーズンは終わってしまっていても、吉田町の柑橘の魅力は、1年中ここにあります。
愛媛の柑橘を満喫したくなったら、ぜひ訪れてみてください!南予の太陽と潮風をたっぷり浴びた“まじめな味”が、あなたを待っています。

南四国ファーム/吉田きなはいや
南四国ファーム
愛媛県宇和島市吉田町沖村甲612-1
営業時間:9:00~17:00
電話番号:0895-52-0330
開催期間: みかん(10月中旬~11月末)、河内晩柑(4月上旬~5月中旬)、ブルーベリー(7月中)
※詳細は公式サイトからご確認ください
吉田きなはいや
愛媛県宇和島市吉田町沖村甲612-1
電話番号:0895-52-0330(南四国ファーム)
営業時間:8:30~17:00
定休日:定休日なし(1月1日〜3日を除く)