養鶏場が営むたまご料理の専門店

たまご専門店 熊福

美しくて、豊かな卵。卵にかけるまじめさに脱帽!卵が自動販売機で買える!?

さらに黄身が黄色くない〇色の卵で作った絶品スイーツとは!?

ライターの山本清文です。
愛媛県は四国中央市にやってきました。高速道路三島川之江インターチェンジを折りて、左へ、くねくね。細い道を走ると見えてくるのがこちら。熊福さん。

昭和30年に養鶏経営を開始。昭和50年には10000羽収容の鶏舎が完成。昭和58年には20000羽増羽とどんどん大きくなっていきます。

美豊卵!

美豊卵ファンには当たり前!?卵の自動販売機!

平成8年に『美豊卵』の名前で商標登録。卵の自動販売機を出店。地元のメディアなどでも大きく取り上げられました。

熊福の店長である熊野智子さんにお話を伺います。

山本:熊福さんの卵の美味しさの秘密はなんなんでしょうか?
智子さん:もう、うちの卵はこだわりが詰まっていますよ(笑)。まずは鶏。卵用鶏では数パーセントしかいない純国産鶏「もみじ」を飼育しています。黄身が大きくて美味しい卵を産んでくれるんです
山本:純国産という種類があるんですね!
智子さん:そう。次が、水。卵の70%以上は水分なんです。ということは水が大事なわけです。鶏が飲んだ水がそのまま卵に反映されるんですね。だから当社では「プロスアクティブウォーター」「FFC元始活水器」「EMセラミック」で処理した水を与えています
山本:カタカナがたくさん出てきてちょっとわからないんですが(笑)

ご自宅用にも贈答用にも美豊卵・

智子さん:ですよね(笑)。でも普通のお水じゃなくて、まぁコストはそれなりにかかるんですが、水のために出来ることはやろうと実施しています。そして餌です。自家製発酵飼料っていうのを使っています
山本:自家製発酵飼料。今度は漢字ですね(笑)
智子さん:はい(笑)。とにかく、卵を作る要素は、鶏と水と餌なんです。この3つにとことんこだわればいい卵が出来るだろうと信じてやってきました

たまごかけを注文すると卵は食べ放題!

山本:すごい!鶏・水・餌に妥協がない!そして、その卵がこのお店でいただけるということなんですね?
智子さん:そう。平成19年にオープンしたんです。食べていただきましょう
山本:いいですか!?

お味噌汁と小鉢とお漬物も!
ということで、たまごかけごはんをいただきます。

見てください、このぷるんとした卵!

しょうゆもたまごかけ専用!まぜまぜしていただきます。

お箸でつかめない!もうかきこむしかありません!

山本:おいしい!濃厚なたまごの味がたまりません!たまごはもちろんですが、このごはんもおいしいですね
智子さん:そう。ごはんもね。お米屋さんから仕入れているんだけど、お寿司屋さんを紹介してもらって、炊き方を教わったんです。素人だからね。家庭用じゃなくて大きいお釜で作るから、ちょっとのお水の量で味が変わるんです
山本:めちゃくちゃまじめじゃないですか!
智子さん:最初はたまごかけごはんだったら、私でもできるかなと思ったんです。でも、たまごかけごはんって卵とごはんでしょ?ごはんが美味しくなかったらやっぱりおいしくなくなるでしょ?それが嫌だったから、専門家に聞こうと思ったんです
山本:そんなに違うんですか?

ひたすら食べる山本。

智子さん:そう。洗うときにお米が吸った水の量も計って、4時間寝かせるとかね
山本:まじめなたまごかけごはんだ!美味しいはずですね
智子さん:ちょっとおもしろいもの見せてあげる!

と智子さんが立ち上がります。

智子さん:これが普通の黄色いたまごですよ
山本:はい、先ほどいただた卵です。きれいな色ですね
智子さん:これが、黄身が白い卵!

黄身が白!?これはいったい!?

山本:智子さん?これはいったい??
智子さん:おもしろいでしょ?黄身の色って、餌の色なんです。トウモロコシを食べると黄色になるんです。その餌をお米に変えると白くなるんですよ

並べると一目瞭然!

山本:餌でこんなに変わるんですか?
智子さん:そう、この卵で作ったのが、2種類のプリンなんです。食べてみます?

と登場したのが2種類のプリン!

白と黄色のプリン!ぜひ食べ比べを!

まずは黄色いプリンからいただきましょう!

山本:たまご感がすごい!!美味しい!濃厚なプリンですね!
智子さん:黄色い方がたまご感が濃いんですよ

もう、おいしいという言葉しか出てきません!

続いて、白いプリンをいただきます!果たしてその違いは??

ほんとに真っ白なんです!白いプリンに惚れました。

山本:白はまた全然違いますね!?あっさりして、ミルクを強く感じますね
智子さん:そう。同じ黄身でも味がこんなに違うのが不思議ですよね

このたまごを作るために、餌を変えるという徹底ぶり。たまご屋さんにしか作れないプリン。その秘密は、たまごの量でした!

智子さん:このプリン、ものすごくたくさん黄身がはいっているんです。黄色い方は、牛乳を1リットルに対して、たまご15個入っているんです。しかも12個くらいは黄身だけなんです。
山本:えー-!ほぼ1対1じゃないですか!
智子さん:ふつうは、生クリームでコクを出すと思うんですが、うちは生クリーム使っていなんです。全部黄身でコクを出しているんです
山本:これはケーキ屋さんではなかなか出来ない。たまご専門店ならではのプリンですね!

恐るべしたまご専門店。絶対的な自信があるたまごを生たまごだけでなく、さまざまな加工品としてもブランド化。多くの支持を集めている大人気店。

しかし、現在の代表取締役を務める智子さんの旦那さま熊野憲之(くまののりゆき)さんは家業を継ぐことは考えていなかったといいます。

山本:ご主人はお忙しいですよね?
智子さん:大丈夫だと思うよ。ちょっと電話するね

と、智子さん。おもむろに電話を始めます。

智子さん:ちょっと、来て。(ガチャ)
山本:えー-!電話それだけ!?いいんですか??
智子さん:大丈夫、大丈夫!

「来て!」の電話で、すぐに来てくださった熊野憲之さん。

憲之さん:あー!そういえば、取材来るっていよったね!
山本:お忙しいところ、すみません!お話聞かせてください

どういった経緯で、熊野養鶏を引き継ぐことになったのか伺いました。

憲之さん:元々全然違う仕事に就いていたんです。鉄工所とか製造業の関係の方とよく話をしていて、後継者不足が深刻だという話になり、ちょっと待てよ、実家も自営業だったなと(笑)。やっぱり継いだ方がいいなと思い、帰ってきたんです

たまごを分別する機械。ころころ転がる姿が愛らしい。

智子さん:そう。でも、そのころ、お義父さんは事業を縮小する方向に進めていて、私たちも帰ってきて本腰入れてやりたいと思っていたので、いろいろ新しいことを始めることにしたんです。
山本:お父さんは喜ばれたんじゃないですか?
憲之さん:いやー親父、喜んだんかな?どうなんやろうなー。親の面倒も見ないといけないし、家業をやめるのをもったいないなぁと帰ってきたら一石二鳥だなぁと
智子さん:お義父さん、めちゃくちゃ喜んでたよ!

憲之さんの照れ隠しでしょうか。智子さんはお父さんの嬉しそうな表情を忘れていないようです。それは嬉しいに決まっていますよね。

分別されたたまごをケースに入れていきます。

憲之さん:まぁでも、帰ってきたら後悔しましたね。いろいろ思っていたより大変で(笑)

お父さんから引き継いだ養鶏業。
憲之さんは、業界の常識を覆す経営方針を打ち出し、いくつも実践。その中のひとつが「養鶏場で育てる鶏の数を減らす」という大胆な改革。1人でしっかりと目の届く数の鶏を育て、質の高い卵を作り、その上で価格の安定化を図りました。ここ数年でようやく思っていた形に近づいてきたといいます。

憲之さん:息子がいるんですけどね、帰ってきても来なくてもいいんですが、まぁ環境だけは整えておきたいなと思っていろいろやってはいるんです
智子さん:それは帰ってきて欲しいですけどね。子どもの人生なので・・・

新発売の「すき焼きのたれ」鶏にあうタレなんです。

たまごに対して、まじめすぎるくらいまじめな熊野夫妻。おいしいたまごは、間違いなくこの二人の熱意が生み出したものでした。

これからも気になる商品がどんどん生まれそうな予感。ぜひお店で、まじめなたまごに出会っていただきたいです。

たまご専門店 熊福

愛媛県四国中央市妻鳥町2243-1

電話番号:0896-56-5125

営業日:食堂9:30〜14:00 店舗9:30〜16:00

定休日:水曜日

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