当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

「旅するおむすび屋」菅本香菜さんが考える、愛媛の食文化の魅力とは?

 

コロナ禍で変わった「旅するおむすび屋」の活動

 

――現在、どのような活動をしていますか?

菅本香菜さん(以下、菅本) 47都道府県のおむすびを取材しに行くというのをやっています。47都道府県中、40道府県回りました(10/19現在)。残り7都県は、関東エリアに集中してるので、あと2~3ヶ月位で回り終えるかなと思っています

 

――なぜ、「おむすび」なのですか?

菅本 おむすびという、子どもから、おじいちゃんおばあちゃんまで、誰もが一緒に作れるっていうもので、みんなで一緒に地元の魅力を発見して、それをみんなで食べる機会ができるんですよね。

自分の地元にこんな食べ物があったんだとか、おじいちゃんおばあちゃんが、こういうものを作っているのを知らなかったとか、何かそういう地元の魅力を一緒に再発見できるっていうのはすごく嬉しいなと思っています。

あと、地域の中で育つ食べ物をいかにおいしく食べるかって言う知恵がすごい詰まってるなぁと思っています。その地域でどんなものが取れていて、それをいかに豊かに美味しく食べていくかっていうヒントがすごい詰まってるっていうのは、色々な地域に行きながら発見してるところではありますね

 

――全国におむすびの取材に行くきっかけは?

菅本 元々は、子供たちや地域の皆さんとの食育のワークショップっていうところから活動自体が始まっています。コロナ禍になって、直接集まってのワークショップが少しやりづらくなったタイミングで、これまで私がしっかり取材させてもらうことがあまりなかったので、逆にこのタイミングでインプットをしっかりして、皆さんと一緒に楽しめるようになった時に、私がもっとアウトプットできることを増やしていこうという考えで、全国のおむすびを巡っていくというのを企画して立ち上げて、去年から回り始めたという感じです

 

――インプットを増やすことで感じたことは?

菅本 こんなに日本だけでも知らないことだらけなんだな!というのは、すごく感じています。47都道府県回り終わったら、もうこの旅は終わりだって思っていたんですけど。回れば回るだけ、他の季節に来たいとか、同じ県内でもこのエリアも行ってみたいとか、行きたい所ばかり増えるので、旅が終わらないなというのをすごく実感しています。愛媛も行かせてもらったんですけれど、正直全然もの足りていないので、もっといろんな所を知りたいし、いろんな方に出会いたいなと思っています

 

「旅するおむすび屋」菅本さんが感じた愛媛とは?

 

――愛媛を訪れた印象は?

菅本 空港降りたときは、めちゃみかんだなって(笑)。王道ですけれど、みかんジュースが絶対飲みたくなる感じは、着いた瞬間から愛媛に来たな!って思わせてくれました。こう思わせてくれる食べ物があるって、やっぱりうらやましいなというか、他の県にはあまりない文化だなっていうのはすごく思いました

 

――愛媛県で出会った人は?

菅本 皆さんすごく明るくて、ウェルカムな方が多かったイメージはすごくあります。今回のおむすび旅とは違うタイミングで愛媛に行った時だったんですけれど、道後温泉エリアに1人で泊まる機会があって、地元の人しか行かなさそうな、めちゃくちゃローカルな感じの店に入ったんですけど、「どこから来たの?」っていうところから始まって、みんなと仲良くなりました。そんな感じが愛媛の方の好きなところだなって思います

 

 

実際におむすびを結んでいただきました!

 

――お米が炊き上がったようです!

菅本 おー!めっちゃいい香りしますね!いい感じにおこげもできて。美味しそうに炊けています。西の方のお米って粒が小さいものが多いんですけれど、一粒一粒がしっかりしていますね

 

菅本さんがセレクトしたお米は、愛媛県産の田力米(たりきまい)と三間米(みままい)。そして、このお米に合う愛媛県産の食材も準備していただきました。結んでいただくおむすびは、2種類!

【大島宮窪地域のエビみそを使用したおむすび】と【松山あげと舞茸の炊き込みご飯おむすび】です。

 

――食材を選ぶ基準はありますか?

菅本 私が選ぶというよりかは、地元の方がオススメしてくださったりとか、つないでくださった方が、この地域だったら、これかなっていうのを提案してくださったりします。調べても出てこないものが多いので、すごく面白いですね。なので、取材先に行く時は「あえて地元の方に聞く」というのを結構大事にしています。今回は、愛媛に行った時に教えていただいたものを取り入れてみました

 

――愛媛県の食材で気づいたことは?

菅本 愛媛って、みかんと海のイメージがすごく強かったんですけれど、松野町の目黒地区に行った時に、地元のおじいちゃんや移住された方たちと、地元の竹を切ってその竹でご飯炊いてみたんです。ちょうど春の時期だったので、山菜とか色々と教えてもらいました。海も、山もすごい豊かなのが面白かったですね。あと、お米がおいしいとかもそうなんですけれど、水がすごい綺麗で。目黒地区はすごい田んぼが広がっていて、私が想像していた愛媛の風景と違う!ってなりました(笑)

 

食と文化がつながるとは?

 

――愛媛の味付けの特徴は?

菅本 味付けは甘いです、めっちゃ(笑)。私も九州出身なので、お醤油も甘いですし、色々と甘いんですけど。だからある意味ちょっと親近感があるというか、それはすごく面白かったです。生まれた場所じゃないのに、味付けの感じが少し懐かしいというか。お醤油の感じとか、何で味付けが似ているのだろう?みたいなのは、深堀してみたいと思うんです

 

――食と文化がつながるのも面白いですね?

菅本 そうですね。それは結構全国回っていても、なんか北前船の文化みたいなところとか、リアルに今の食文化にひも付いてたりとかするので、面白いんですよね。なんで昔こんなふうに食べ物が広まっていったんだろう?みたいなの考えるのがすごい好きで、調べたり、勉強したりするのが好きなんです。食は、本当に多方面から見られるので、歴史や交通自然環境、いろんな面で深掘りをしていけるなと思っています

 

 

菅本香菜さんにとって「まじめ」とは?

 

――愛媛の旅を通して、愛媛県民の「まじめ」だなと感じたエピソードを教えてください

菅本 今治タオルを作られている方の所に行ったんですけど、その仕事の丁寧さというか、細かさみたいなところは「まじめ」な方じゃないとできないんじゃないかなと思いました。柄を作るにも、機械のプログラムでやってるのかと思ったら、大量の糸の順番をおばあちゃんが手作業で行っていて、順番が一個でも狂うと、柄が変わってしまうと考えると、相当な神経を使うポイントだと思います。最後の検品も、タオル一枚一枚検品しているのを見て、本当に「まじめ」な方じゃないとできないお仕事だなと思いました。高品質な今治タオルが、世界に届いているのは、この「まじめ」さがあるからなのかも?と感じましたね

 

――最後に、菅本さんにとって、「まじめ」とは?

菅本 私が考える真面目さは「自分を信じること」なのかな、と思っています。何か自分が信じるこれ!っていうことにまっすぐ進んでいる方って、私はすごく「まじめ」だなって感じます。自分を信じる力を持っているということなのかなと思います

 

――ご自身はどうですか?

菅本 どうですかね。自分が好きだなって思うことを信じて、まっすぐ進みたいな、と。それしかできないというのもあるんですけど、自分が好きだな、楽しいなと思うこと、これを伝えたい!と思うことしかしていないです。今後もそこに向かって、まっすぐ進んで行けたらいいなと思っています!

 

――ありがとうございました!

 

取材後、菅本さんに結んでいただいたおむすびをスタッフで頂きました!ご馳走様でした!

 

取材・文/小島拓 撮影/木原隆裕

 

菅本香菜

旅するおむすび屋 / 株式会社CAMPFIRE キュレーター/ 総務省 地域力創造アドバイザー

1991年、福岡県北九州市出身。熊本大学卒業後、不動産会社での営業を経て、食べものつき情報誌『くまもと食べる通信』の副編集長として活動。熊本震災後に上京し株式会社CAMPFIREに転職、LOCAL・FOOD担当として全国各地のクラウドファンディングプロジェクトをサポートしながら日本の魅力発信に努める。本業の傍ら2017年に『旅するおむすび屋』を立ち上げた。2019年に独立。フリーランスとして、食に関わるイベント企画・運営、食材や商品のPR、商品開発企画、クラウドファンディングサポート等を手がける。

最新メディア一覧へ