コーヒー本来の味が知れるカフェ

utaco drip

店主のこだわりが随所に感じられる

コーヒーをいただく

みなさんこんにちは。
カフェ巡りが趣味の大学生ライター、野本鈴夏です。
最近は趣味が高じてコーヒーを淹れるようになりました。

今回は皆さんにご紹介したい、コーヒーが美味しいお店がありまして…
JR松山駅から徒歩約3分のところにあります、
ブルーのオーニングテントが目印! 「utaco drip」です。

開放的な入口を潜り抜けると…コーヒーを片手に、店主の野本さんがいらっしゃいました。
入店をして直ぐに、「ブラジルっていう新しい豆がめちゃくちゃ美味しくて!」と、早速コーヒートークに華が咲きます。

私もたくさん聞きたいことがあるので、奥の飲食スペースでお話を聞かせていただきましょう!

鈴夏:オシャレな内装ですね! こだわりはありますか?

野本さん:内装は全部DIYで、お店の中にあるものは全て貰いものなんですよ。過ごし易くはないと思うんですけど、ハマる人がいてくれたらなと。インスタレーション(空間芸術)が好きで、光の差し具合とかも意識していますね

じんわりと暖かい光と影が作り出す素敵な空間。
楽器やアートなどもあり、店主の“好き”が散りばめられています。
ある時はライブ会場、ある時は映画館…カフェ以外の顔も見せてくれるというutaco drip。

鈴夏:素敵です…! 野本さんのお話から、お店への並々ならぬこだわりを感じます。お店でコーヒーを提供することになったきっかけを教えてください

野本さん:料理をもともとやっていて、モノを作ることが好きでした。それでコーヒー豆の焙煎も始めたんですよ。松山に戻ったときに出会った友達がお店をしていて、僕が焙煎した豆を使ってくれて…コーヒービジネスって面白いなっていうのが印象にあって。それからすぐお店をやるって決めたんですよ。それまではビジョンも経験もなかったんですけど…

鈴夏:趣味の延長で! 素敵です。それからどのくらい?

野本さん: 10年経ちましたね。あっという間に

鈴夏:では、思い出もたくさんあるんじゃないですか?

野本さん:う〜ん、あるとは思うんですが、今と少し先のことしか考えてなくて! 毎日コーヒーを淹れた時「あっ、昨日より良いな」ということはあります

昨日よりも今日の “美味しい”に重きを。焙煎や抽出方法をちょっとずつ変えながら、今最大限に出せる美味しいコーヒーを提供しています。
少し変えただけで、味が変わる。コーヒーにはそんな奥深さ・面白さがあるんですね。

鈴夏:10年間、好きなことだからこそ続けられるんですね。ほとんど毎日早朝から営業しているとか

野本さん:いや、オープン当初は早朝から営業していたんですけど、焙煎機の容量が小さいので、焙煎回数が多くて。お昼頃からの営業に変更していたのですが、最近朝からの営業に戻して…そのきっかけというのが、今作っているコーヒーが朝に飲んでほしいという気持ちがあって

鈴夏:朝に飲んでほしい…? どんなコーヒーなんでしょう

野本さん:うちの豆のラインナップは全て浅煎りで、朝に飲んでほしい。ガツンというよりも、包容力があって。飲むと強制ON!ではなくて、ゆるやかにスタートできる朝…みたいな感じです

Utaco dripでは朝にぴったりなコーヒーの他にも3種の味を楽しめます。

 

店主が買い付ける、上質なコーヒー豆とは

野本さん:今ある3種類のラインナップの中の1つが、アンドレアさんが作っている「ブラジル」。でも、僕ブラジルあんまり好きじゃないんですよ(笑)

鈴夏:えぇ! じゃあなぜこのブラジルを?

野本さん:もし自分がブラジルを焙煎するとしたら、理想の条件があって。このブラジルの「イエローブルボン」という品種がその条件に全部当てはまったんですよ!いくつかあげると、育った標高がブラジルとしてはかなり高め。パルプド・ナチュラルという精製(*1)方法です。
それにブラジルのスペシャリティコーヒー(*2)ってどうしても、ブラジルにしてはフレーバーが豊富に作られているところが前面的に押されているんですけど、僕はそれを求めているわけではなく、しっかりブラジルらしさを感じるナッツの香りが欲しくて。このコーヒーは上品なくるみや栗の印象がありながら、クリアなんです

(*1)コーヒーの果実から果肉や皮を除去すること
(*2)消費者が美味しいと評価して満足するコーヒー

野本さん:「ホンジュラス」は、赤リンゴみたいな甘味と酸味のバランスです。この中では1番お付き合いの長いラミレスさんが作っていて、うちでは安定的にラインナップに入っていますね。あと、「コロンビア」は、去年初めて買い付けて、ホセさんが作っています。このティピカという品種が1番好きで、これもかなり栽培時の標高が高め。育った標高が高くなると、甘くなります。成熟するのに時間がかかるので、糖度が上がっていくんです。香りを嗅いでもらったら分かるんですけど…

鈴夏:ホントだ、香りから甘い!

どれも個性があって面白いです。
う〜ん、どれにするか迷っちゃいますね…と悩んでいたところ、野本さんの鶴の一声が。

野本さん:僕は新しいもの好きなのでコロンビアを推してます(笑)
あと、分かりやすいのでラテもどうでしょう。

鈴夏:では、コロンビアとラテをお願いします!

 

こだわりの1杯をいただく

注文をすると、野本さんがその人に合ったコーヒーを一杯、一杯…丁寧に淹れてくださいます。

私とカメラマン、野本さんも声を揃えて「めちゃくちゃ良い香り!(笑)」

野本さん:割とレシピを考えていて。豆によってもそうなんですけど、新しいことにも挑戦しています。ブリュワーズカップっていうコーヒーのレシピを競う大会があって!そういうのも参考にしながら。各豆がどの抽出に合うのか試してみて、あとはオペレーションとのバランスですね。良さそうだったら採用していく感じ

美味しいコーヒーを追求して、日々研究をしているんですね…!

野本さん:今ハマっているレシピは、1・2頭目だけ90度のお湯で淹れて、そこから蓋を開ける。お湯を減らして抽出温度を下げて、最後に2頭注ぐという抽出方法です。そうすることによって、コーヒーのネガティブな成分に隠れていた、本来あった甘味が出てきます

豆にある本来のうまみを引き出しているんですね。
お家でもできるということで、私も試してみようと思います。

最初の一杯は、「コロンビア」です。

キャンディーのような甘い香りが鼻に掠め、柑橘のような酸味と、甘味を感じます。
本音を言うと、浅煎りの酸味に抵抗感がありましたが、これは口がすんなりと受け入れられます。
このスッキリとした味わいは、確かに朝に飲みたくなる一杯です。

こちらではコーヒーによく合う、手作りの焼き菓子の販売もしています。
今回いただくのは、常連さんが初めて食べた時に「感動した」と言い放ったウィークエンド。
愛媛県産の無農薬レモンが使われています。

コーヒーと一緒にいただきます。

フォークが入りにくい…!
そう言うと語弊がありますが、生地の密度が高いことが分かります。

生地がギュッと詰まっていてしっとり! ピスタチオの食感もいいですね。
爽やかなレモンのアイシングの酸味と、バターの風味が口の中で広がります。
コーヒーとの相性も抜群! どちらも酸味があるので、お互いがお互いを引き立てていますね。
美味しすぎる…常連さんが感動したのもよく分かります。

続いて、ラテもいただきます。美しいラテアートをご覧ください!

野本さん:どうぞ

鈴夏:手早い! それにすごく綺麗ですね

見た目も美しいラテをいただきます。

先ほどのコロンビアよりもコクのあるコーヒーです。濃厚なミルクとよく合って美味しい!

焙煎も、抽出も、エスプレッソも…どれも全て素晴らしいです。

鈴夏:お客さんにはどんな環境でコーヒーを飲んでほしいですか?

野本さん:僕が毎回もったいないと思っているのが、例えば、お店に何人かで入って、注文して…そこからは会話が主体となる。それって場所はどこでもいいっていうのが条件としてあって

鈴夏:純粋にコーヒーを楽しんでほしい…?

野本さん:う〜ん。楽しみ方を伝えきれていない所も、僕らの責任ではあるので、盛り上げられることは全部しようと思っています。従来のコーヒーの淹れ方ではなくて、コーヒーの選び方のセミナーをやるとか、色々企画しています。うちもラインナップに、年に3種類はシングルオリジン(*3)がありますが、どれを選んだらいいのか分からない人もいると思うので…。
ある人にとってコーヒーは日常に寄り添うもの。私も毎日コーヒーを飲みますが、それが作業のようになっていました。自分の好みに合わせた、美味しい豆の選び方を教わって、それを淹れて、飲む…そんなコーヒーと向き合う時間を大切にしたいです

(*3)産地や農園、生産者など細かい単位で分かるコーヒー豆

 

野本さんの考える、“まじめ”とは?

野本さんが考える“まじめ”とは、何ですか?

野本さん:体現だと思うんですよ、まじめさって。なので、日々の生きる生活の中で体現できているとか。それから開放された時がプライベートだと思います。家に帰ると不真面目なので僕…

その豆の個性を尊重しながら、丁寧な焙煎や抽出で良い成分を表現する。美味しい、自分の作りたい味をまじめに体現していらっしゃいました。

こちらは、お店の1年の売上げの3%をどこかに寄付もされていて、コーヒーの魅力を伝えながら、人や社会に還元しています。

野本さんのお話や、実際にコーヒーを飲んでみて、また違った角度からコーヒーの魅力を知ることができました。浅煎りのコーヒー=酸味があるというイメージでしたが、それだけではないコーヒー本来の甘味も感じられて驚きました。店主こだわりの美味しいコーヒーを飲んでみたいという方は、是非行ってみてはいかがでしょうか! コーヒーの価値観が変わります、沼にハマること間違いなしです。

utaco drip

愛媛県松山市大手町2-9-20

営業時間:8:00~19:00 (月曜日のみ13:00〜18:00)
定休日:なし

インスタグラム

記事をシェアする

その他の #喫茶・カフェ

Page TOP