愛媛の秋といえばコレ!郷土料理「いも炊き」

出合のいも炊き

秋になると県内各地で行われる「いも炊き」。

河原で鍋を囲んで楽しむ、愛媛の秋の風物詩を体験!

ライターの眞弓莉沙子です!

今回は、愛媛の秋の風物詩「いも炊き」についてご紹介します!
「いも炊きって?」と思っている方が多いと思いますので、まずはいも炊きがどんなものなのか、ご紹介します。

いも炊きは愛媛県独自の郷土料理で、里芋・鶏肉・こんにゃく・しいたけなどを煮込んだ鍋料理。
いも炊きのルーツには諸説ありますが、愛媛県南部に位置する大洲市が発祥の地だと言われています。350年以上の歴史があり、「お篭り」という河原で行う伝統行事で振る舞う鍋に、各自が地元名産の里芋を持ち寄ったことが始まりだと言われています。
現在は、9月〜10月頃から県内各地で行われるようになり、秋の月見を兼ねて、河原で家族や友達などと一緒にいも炊きを楽しむ様子が、愛媛の中秋の風物詩となっています。

この河原でのいも炊き。県内の大学生たちももちろん体験したことがあると思って話をしたところ、意外にあまり行ったことがないそう。
ということで、今回は、まじめしライターの中で、河原でのいも炊きを体験したことがないという大学生の高橋さん(左)・はなちゃん(中央)に、松山市の「出合のいも炊き」を体験してもらいました!まじめしでいも炊きを取材すると聞きつけ、別チームから野本さん(右)も「一緒に体験してみたい!」と参加してくれました。
私は今回、みんなが楽しむ様子を影からレポートしたいと思います。

仕事終わりにすぐ行ける!誰でも気軽に来られる「出合のいも炊き」

愛媛県中央部を流れる重信川の河川敷で行われている「出合のいも炊き」。こちらでは、夕暮れ時の18時から受付が始まります。
「出合のいも炊き」というその名の通り、出合橋という大きな橋の下が会場。橋に大きな垂れ幕がかかっているので、遠くから見ても会場の場所がわかりやすい!
受付開始時間と同時に伺ったのですが、会社の仲間や家族など様々なグループが、既にいも炊きの準備をしていて、その人気ぶりが伺えます。

私たちも早速いも炊きを…とその前に。
「出合のいも炊き」を運営している、松山いもたき会の米田利一さんにお話を伺います。

眞弓:県内各地で今の時期、いも炊きをしていますよね。こちらの「出合のいも炊き」はいつから始められたんですか?

米田さん:大体50年くらい前から始まりました。それも、日本の高度成長期。
その頃は、お店でご飯を食べていたんですが、働いている人が仕事終わってから、行けるような場所は何かない?という話がいろいろ出た中で、河原でしてみたらどう?というのがはじまりです。
最初は、仲間同士で集まってやっていたんだけど、これを業者さんに頼んだら、さらに多くの方が来られるようになるんじゃないかということで、業者さんにそのお話したらここのいもたき会の人たちが協力してくれるということで「出合のいも炊き」がはじまったんです。

眞弓:元々は仲間内でお店でいも炊きを楽しんでいたけど、河原でやってみようか、というところから「出合のいも炊き」がはじまったんですね。

米田さん:ここだったら、大人数で来られるし、車でも来られるし。だからその頃はお客さんの人数は多かったです。みなさん、仕事が終わってから直接ここへ来られるから。特に、建築業や農業の人なんかは、作業着のまますぐ来られる。お店だったら服を着替えないといけないけど、ここだったら河原だから着替えなくても来られるということで。

眞弓:河原という場所が、さらにお客さんに来てもらえるこの河原で食べるスタイルって県外でもあまりないと思うので、とても珍しいですよね?

米田さん:他ではあまりないですね。最初、お客さんは50人とかだったんですけど、それが100人、200人になって300人、500人になっています。

初めは、近所の方が来られることがほとんどだったそうですが、最近では松山市内からもたくさんの方が楽しみにくることも多くなったといいます。
県外からのお客様も来られるそうで、なんと飛行機の窓から提灯の灯りを見かけてやってきたという方も。県内外からいも炊きを楽しもうとこの会場へ足を運ぶそうです。

河原の「いも炊き」を大学生が体験!

早速、いも炊き作り開始!
会場に到着したらまず受付で料金を払って、いも炊きの材料を受け取ります。スタッフの方がお出汁の入ったお鍋を持って、茣蓙が敷かれた席まで案内してくれます。
会場によって様々ですが、こちらでは、用意された具材を自分たちで鍋に入れ、いも炊きを作っていきます。

鶏肉から順に入れ、具材に火が通るまでぐつぐつと煮込みます。
出汁の香りが漂ってきて、みんな「いい匂いー」とお腹を空かせながら、いも炊きを作っていきます。

待ちに待ったいも炊きが完成!
ここからは、はなちゃんと高橋さんがいも炊きの味をレポートしてくれます!

大学生ライターのはなです!
県外出身の私は初いも炊きです!

まず驚いたのは具材の多さ!

里芋やこんにゃく、じゃこ天、鶏肉、たこなどあらゆる種類の食材がありました!

鍋を煮詰めていると、だんだんいい匂いがしてきました!期待が膨らみます!!

いざ実食!

スープは出汁の味がしっかりしてとても美味しい!そしてなにより里芋が甘い!やわらかい!個人的には肉団子がとても美味しかったです!

〆にはうどん!

これがとっても美味しい!うどんとスープの相性抜群!麺は讃岐うどんでもちもち!いも炊きだけでも満足感たっぷりでしたが、〆のうどんは別腹でした!たくさんおかわりしちゃいました(笑)。

いも炊きのおいしさを知ったところで、米田さんにインタビューしました!

はな:愛媛県内でも土地によっていも炊きの味は違うのですか?

米田さん:少しずつ違います。松山は県内各地から人が来るのでここのいも炊きは各地にあるいも炊きの味を取り入れて、中間を作りました。ここのいも炊きは鶏肉から出る出汁が出ているんです。
最初はそのままうどんを入れていたけどそれだと汁が濃すぎてダメでした。そしたらうどん屋さんがこういうの作ったらどうやと提案してくれて、そこから試行錯誤して今の味になりました。だから煮込み料理なのにうどんが食べられます。

はな:うどんじゃなくてそばなど、他の麺類にしようとは考えなかったのですか?

米田さん:ガス全開でやるので、そばにしたらトロトロになってしまいました。色々やったらうどんが1番良かったです。

お話を聞いて、米田さんたちが作るいも炊きは、知恵やこだわりがたくさん詰め込まれており、長年愛されている理由がわかったような気がします!

 

はじめまして!まじめし研修中ライターのカフェ好き髙橋がお伝えします!
愛媛県出身の私にとって、いも炊きは寒くなり始めた秋くらいから、家族でお鍋のように囲んで食べるイメージでした。そのため、今回みんなが川原に集まって食べるというのは、想像できませんでした! 
実際に、「出合のいも炊き」を体験してみると、会社帰りのサラリーマンたちや、近所の家族連れがたくさん集まっており、それぞれがお鍋を囲み、団らんしている様子を見て、なんだか楽しそうでほっこりしました。
河原という開放的な場所で開催されるからこそのにぎやかさが、楽しい雰囲気が好きな私にはよかったです!

それでは、いも炊きを食べてみようと思います!
具だくさんで、見た目からも食欲をそそられますね。ではさっそく、いただきまーす!

里芋がホロホロで、お出汁もしっかり染みてる!お出汁は、醤油ベースの濃いめのもので、どの具材にも、ピッタリです。お家で食べる甘めの薄いお出汁を使ったいも炊きとは少し違いました。

米田さんにお話を聞いたところ、お出汁は、鶏肉から出る出汁が入っているのであっさりだけど、濃いめの味にしているのだそう。

すぐに身体もあったまって、幸せでした♡

次に、〆のおうどんです。
麺が伸びないうちに、食べちゃいましょう!

あれれ?いも炊きを2杯も食べたのに、スルスルっと食べれちゃいました(笑)。それくらい、美味しかったです〜。

お腹いっぱいで、大満足です!

 

〆までお腹いっぱい食べ切った3人。心ゆくまでいも炊きを堪能しました。

さて、完食した後は米田さんに「出合のいも炊き」の特徴を伺います。

眞弓:3人ともとても喜んでいも炊きを食べていたのですが、出合ならではの特徴はありますか?

米田さん:特徴という特徴はないですね(笑)。

眞弓:そうなんですか!私、他の地域のいも炊きを体験したことがあるのですが、こちらのいも炊きでタコが入っているのは驚きでした!

米田さん:試食会の時にはタコは入っていなかったんですよ。あとから、釣り好きのスタッフがタコ釣ってきたので、入れてみたらおもしろいんじゃない?ということで、こうして入れているんです。最初は魚を入れてみたんですが、あまり合わなくて(笑)。
あとの食材も地産地消でやろうと思っているので、県内産の食材を使用しているのが特徴です。

眞弓:そういった試行錯誤を経て、今のいも炊きが出来上がったんですね。

「みんなに喜んでほしい」松山いも炊き会が「出合のいもたき」を続ける理由

眞弓:今後、この「出合のいも炊き」をこんなふうにしていきたいなど、展望はありますか?

米田さん:若い子が来てくれるといいなと思うんですけどね。少しずつ増えてはいるんですが、そんなには増えていないから。
どんなことをしたらみんな来てくれるのか、会場そのものを変えるのではなく、この場所でどういうことをしたら来てもらえるかを、お客さんにも聞きながら模索しています。

眞弓:ちょうど今、大学生がいるので、今回の感想を聞いてみましょうか。

はな:この雰囲気、大学生は好きだと思います。みんなでワイワイできる感じが。

米田さん:お店と違ってワイワイできるかなとは私たちも思っているんだけど、構わんのやろかと思っていて。

はな:めっちゃ好きです!こういう会場があって、いも炊きができるって、私は知らなかったんですよ。もっといろんな人に知ってもらえるようにしたいなと思います。

米田さん:ぜひお願いします!

大学生にもいも炊きは大好評!ぜひ、若い方にも楽しんでもらいたいです。

最後に、「出合のいも炊き」を運営する松山いも炊き会のみなさんにとって“まじめ”とは何か、伺いました。

米田さん:一生懸命やっている、ということですかね。みんな、実は自分のお店を持ちながら、「出合のいも炊き」の運営を行っているんです。お店の運営は奥さんや従業員にお任せして、自分もここでやってみたい、人と関わりたいという人が手伝いにやってきているんです。私も一応、お店を持っているんだけど、この期間中は夕方以降お店を閉めて、ここへきています。

眞弓:お店をお休みにしてまで、このいも炊きを運営し続ける理由はなんでしょうか?

米田さん:運営に関わっている人はみんな、人との対話が好きなんだと思います。儲けを出すというよりは、人と話がしたい。お客さんが楽しんでくれたらええと思っている人が多いんじゃないかな。

みんなが楽しめる環境を一生懸命に作っている「松山いも炊き会」。
地元の方のおもてなしの心がいっぱい詰まったこの「出合のいも炊き」は、この先もずっと続いていってほしいですね。
まだいも炊きを体験したことがない方はぜひ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

出合のいも炊き

愛媛県松山市出合 出合橋

電話番号:089-989-5506(松山いも炊き事務所)

営業日:2023年は10月28日(土)まで開催

営業時間:18:00〜21:30

定休日:期間中無休※小雨決行

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