愛情込めて結ばれたおむすび

おむすび禾

シンプルだからこそ、ベースを大切に。

素朴だけど味わい深いおむすび

こんにちは!まじめしライターの岩畑です。
さてさてやってまいりました!食欲の秋!実りの秋!美味しい食事がさらに美味しく感じられる季節の到来ですね。
この時期美味しく食べられるものといえば、色々ありますが…今回紹介するのは「新米」で作られた“おむすび”です。

やってきたのは、伊予鉄環状線の上一万駅を降りてすぐのところにある、おむすび専門店「おむすび禾」です。
今年の8月21日にオープンしたばかりのお店には、おむすびを求めて朝からお客さんが!
否が応でも期待しちゃいますよね!

おむすびマークのついた暖簾をくぐると、出迎えてくれるのはずらりと並んだおむすび!とんがり頭が何だか可愛い…
イートインスペースで食事をするだけでなく、おむすびやおかず、お汁の持ち帰りも可能です。

好きな具材のおむすびをテイクアウトして、自宅や職場でゆっくりと食べるのも良さそう!
今回は、店内で食事をしますよ〜。

おむすび禾のおむすび定食

いただくのは「おむすび定食」。好きなおむすびと一緒に、お汁と玉子焼き、漬物を楽しめます。

この日のおむすびのラインナップはこちら!
塩むすびから、定番の梅やおかか、ちょっと高級感のあるいくらや、ボリューム感を楽しめそうなねぎ豚味噌など、豊富なラインナップ。

悩みに悩み、選んだのは「卵黄牛しぐれ」と、メニューには記載されていませんが、期間限定の「しゃけ柚子胡椒マヨ」を注文しました。
カウンター席でおむすびを握っている様子を眺めながら、楽しみに待ちます!

そして提供されたのがこちら!

どこか懐かしく、穏やかな気持ちにさせてくれるビジュアル。早速いただきますよ!

まずは期間限定の「しゃけ柚子胡椒マヨ」から。

具がぎゅうぎゅうに詰まっているから、一口目から具材にたどり着く!
ふわっと握られたおむすびは、一粒一粒がしっかりと粒立っていて、口の中で程よくほぐれていきます。しゃけとマヨネーズのクリーミーさに、柚子胡椒のピリッとした刺激がクセになるな〜

お次は、「卵黄牛しぐれ」を。

とろ〜っととろける卵黄と甘い味付けの牛しぐれ。お米との相性100%です!
新米ならではの粘り気ともちもち具合、そしてお米の甘味と卵黄牛しぐれの旨味が一体となって押し寄せてくる!本当に幸せ〜。
味付けもしっかりしていて、ボリューム満点だから、お子さんや男性も好きなんじゃないかな!

そして、看板にも「こだわり」と書かれていた「お汁」。

この日は豚汁。日によって具材など変わるそうです。
食べる前から、たくさんの具材が入っていることが分かる、このビジュアル!
愛媛県といえば甘口のお味噌汁を想像する方が多いと思いますが、その通〜り!麦味噌の優しい甘さが体に染み渡ります。人参や大根などの根菜類がホクホクとしていて、シンプルなおむすびとの相性がとても良い!

副菜の「玉子焼き」はプリッとした食感が不思議で、驚いてばかり(笑)。

出汁が効いているけど、玉子そのものの味わいを大切にしている感じがしました。この優しい味付けは、おむすびを引き立ててくれます。

そして、リピーターも多いという「きゅうりの辛子漬け」。

青臭さを無くすため、1本1本種をとっているそう。種を取ることで、ポリポリとした食感も際立っています。ピリッと効いた辛子の味わいも美味しい!これは病み付きになるのもわかります。
どれも美味しくて、でも飾りすぎない味わいに、実家を思い出して懐かしい気持ちにもなりました(笑)。ごちそうさまでした!

おむすび禾の原点とは

最近、巷では〇〇専門店のような、何か一つに特化した飲食店が多いな〜と感じていましたが、おむすび禾もその一つ。
おむすびやお店に込められた想いを、店主の長谷川莉香さんに聞いてみました。

岩畑:そもそも長谷川さんが、飲食の道に進もうと思ったきっかけは何だったのですか?

長谷川さん:飲食に興味があったというよりは、ずっとおむすび屋さんをしたくて。このお店も「おむすびが好き!」というところが原点でスタートしました。

岩畑:おむすびが好きになったきっかけは何ですか?

長谷川さん:子供の頃に父が作るおむすびが好きで。その時は普通に美味しいなぁという気持ちで食べていました。歳を重ねて今では、ご飯屋さんで食事をするときは、おむすびがあれば必ず注文するし、デザートよりもおむすびで食事を締めたいと思うし、おむすびがないお店でも、「おむすびはできますか?」とお願いするくらいおむすびが好きになっていました(笑)。
好きなものに携わる仕事がしたいという考えが徐々に芽生え始めていて、10代の頃からずっとおむすび屋さんをしたいという気持ちはあったのですが、現実的に考えるとその頃は難しかったから、なんだかんだで今このタイミングでお店をオープンすることになりました。

岩畑:お父さんの作るおむすびがきっかけだったんですね!
お店を開店するまでに修行や勉強をされたのですか?

長谷川さん:修行はしていません。もともと食べ歩きが好きで、東京・大阪・福岡と回る中で、おむすび屋さんのことを調べて足を運ぶようにしていました。全部で20店舗以上は巡りました。
おむすび屋さんを回る中で、おむすび1つとっても好みって人それぞれだということに気がつきました。どこかのお店のおむすびを真似したいという気持ちよりは、お店が持つ雰囲気や、店主の人柄などを見ていることの方が多かったかもしれません。

何十店とお店を巡る中で、食べたおむすびの味や握り具合にインスパイアされるのではなく、長谷川さんは、お客さん一人一人と向き合うことに重きを置いているように感じました。
とはいえ、食材や作り方がシンプルなおむすびだからこそ、こだわっていることもあるはず!その点も聞いてみました。

おむすび禾のこだわりと溢れる優しさ

岩畑:お店で使っているお米はどちらのものですか?

長谷川さん:今お店で使っているのは、愛媛県の鬼北町で作られている、「愛治清流米(あいじせいりゅうまい)」のコシヒカリです。県内外問わず、何種類かのお米を食べる中で、愛治清流米が美味しいなと思い使わせていただいています。
お店を今年の8月21日にオープンしたのですが、その時にどうしても新米を使いたくて(笑)。愛媛の南予地方で作るお米は出来上がりが早いこともあって、8月という時期でも新米を使うことができたんです。
ゆくゆくは、いろんな地域のお米を使っていきたいなとも思っています。

岩畑:精米にもこだわられているのですか?

長谷川さん:お米を一週間毎に仕入れています。そのタイミングで精米していただいています。
精米をした瞬間からお米の鮮度が落ちてしまうので、シンプルなものを提供するということは、そういった小さなことからこだわっていかないと、禾の味ではなくなってしまうので。ベースになる部分はしっかりしたいと考えています。

岩畑:細かな部分まで気を配っているんですね!そのほかにもこだわりが?

長谷川さん:そうですね、炊飯器やガス釜など、いろんな方法でお米を美味しく炊くことができますが、禾では「陶器の羽釜」を使っています。土鍋なども試しましたが、羽釜でじっくりと炊き上げるお米の美味しさには敵わなかったです。
あと、見た目も可愛いですしね(笑)。

禾で使われる陶器の羽釜はカウンターに飾られています。

ぱっと見、どのくらいのサイズか分からないでしょ!? これとっても大きいんですよ!

これで伝わりますか?! 羽釜1つで一升(10合)のお米を炊くことができるそうです。
ぜひ、お店で実物をみてくださいね!

岩畑:おむすびを握る上で気をつけていることはありますか?

長谷川さん:おむすびのサイズ感や結び加減は気をつけています。
大きすぎると食べる時に崩れやすくなるし、コンパクトすぎると食べ応えがなくなってしまう。力の入れ具合も強すぎるとお米がぎゅっとひっついたり潰れしまうし、柔らすぎても崩れてしまいます。難しいんですよね(笑)。今でもどんなおむすびがベストなのかなと試行錯誤しながら結んでいます。

岩畑:おむすびの具も種類が多くていいですね。

長谷川さん:梅や昆布などの定番に加えて、男の人でもガツッと食べられる具材など、バランスを見ながら取り揃えています。禾のある松山市勝山という場所はオフィスビルもたくさんあって、働いている男性のお客さんも多いんです。
いろんなおむすびがある中で、禾に来るお客さんは「塩むすび」が美味しいと言ってくれることが多いです。お米と塩のみ、一番シンプルなものを美味しいと言ってもらえて嬉しいです。
おむすびと一緒に、こだわっているお汁も食べていただきたいなと思います。

岩畑:先程いただいた豚汁、とっても美味しかったです。

長谷川さん:愛南町の麦味噌と、香川県のいりこと北海道の昆布で出汁をとっています。玉子焼きなどのちょっとしたおかずは提供していますが、おむすびだけだとやっぱりシンプルなので、おかずとして食べても満足できる汁物で、健康的な食事を楽しんで欲しいなと思います。あと、おむすび定食を食べてホッとして欲しいなという気持ちも込めています。
禾でおむすびを食べていただく際は、ストーリーも一緒に提供できたらいいなと考えています。
普通にご飯屋さんで食事をすると、注文したものがテーブルに運ばれてきてそれを食べるという流れ。それよりも、おむすびを作っているところや、対面で多少会話ができたりなど、コミュニケーションがとりやすいお店の雰囲気作りはとても大切だと思います。食事が提供されるまでのストーリーを楽しみながら、落ち着いた空間で美味しく食事をする。忙しく生きる現代の人に、ほっこりとする時間ってとても重要だと思うので。

岩畑:食事をいただいて、私もどこか懐かしい気持ちになりましたが、禾の店内や長谷川さんが作り出す雰囲気も相まってのことだったのかもしれないですね!

長谷川さん:コンビニで買ったおむすびを食べるよりも、禾で食べる方がどこか温かみがあるよね。と思ってもらえるような、ちょっとしたエッセンスを加えることで、禾のおむすびの良さが出てくるのかなと思います。
機械で作られたおむすびよりは、人の手が結んでいるおむすびの方が美味しいし温もりが感じられると思うので。
禾のおむすびは「素朴」だと思っています。華やかで美しく、SNS映えするおむすびもいいと思うけれど、昔ながらの、まるで日本昔ばなしに出てくるような(笑)。おむすびと言われて、誰もが想像する素朴だけど、美味しいおむすびを結びたいなと思います。

岩畑:確かに、美しく飾られたものは一過性で終わってしまうかもしれないけれど、禾のおむすびは、接客も含め温もりを感じられるからこそ、また食べたい!という気持ちになります。
そういえば、長谷川さんは、おむすびを「握る」ではなく「結ぶ」と言うんですね。

長谷川さん:そうですね。私は握るというよりは、結んでいると思います。
おむすびそのものというよりは、おむすびを通して人とおむすびを、人と人を結んでいると思っています。

長谷川さんのお店に込めた想い、そしてお客さんに対しての優しさや温もりがしっかりと伝わってきました。長谷川さんの手で結ばれるおむすびには愛情がぎっしりと詰まっているのかな。そんな温かい気持ちになりました。

長谷川さんの考えるまじめとは?!

最後に、おむすび禾の今後について聞いてみました。

岩畑:これからお店をどのようにしたいと考えていますか?

長谷川さん:お客さんの日常に馴染んだおむすび屋さんにしていきたいですね。
おむすびって気軽に食べられるものなのに、購入するとなると実は限られたお店にしかなかったり。買えたとしても、防腐剤など添加物が入っていないものって、なかなかないんです。パンはパン屋さんで手軽に買えて、お店もいろんなところにあるけど、おむすびは専門店も少ない。だから、手軽におむすびを買えるスタンドのようなお店も増やせて行けたらいいなと思っています。

岩畑:確かに、私もおむすびを買うとなると、コンビニかスーパーに行きます。体にも優しく美味しいおむすびを手軽に買うって意外と難しいんですね。
最後に、長谷川さんにとってのまじめを教えてください。

長谷川さん:一つ一つのおむすびを丁寧に愛情込めて結ぶということが、やっぱりまじめに繋がっているのかなと。おむすびそれぞれを均等に美味しく結ぶこと。お客さんのことも考えながら、私なりに向き合い愛情を込めることを毎日続けること、なのかなと思います。

厳選した食材で美味しいおむすびを結ぶ。もちろんおむすび禾にとって大切なことですが、このお店にまた来たいなと思う気持ちは、長谷川さんの隅々まで行き届いた心配りや優しさがあってこそなんだなと感じました。
素朴なおむすびに、昔懐かしい気持ちを思い起こさせてもらいました。
ごちそうさまでした!

ちなみに…おむすび禾ではテイクアウトもできます!

お仕事が忙しい時など、さっと買えて美味しく食べられるのもいいですよね!
竹籠に好きなおむすびを入れて、どれにしようかな〜と選ぶ時間も楽しんでください。

おむすび禾

愛媛県松山市勝山町2-17-4

電話:089-904-8189

営業時間:10:00〜14:30 ※売切れ次第終了

定休日:月・日曜日

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