廃校にある地域の台所
津島あぐり工房 あすも
みかん完熟大福や元気もんなど、宇和島市津島の食材を使った加工品販売等を行う「企業組合 津島あぐり工房 あすも」。“食”を通じて集まれる場所、助け合える場所を提供するお店を徹底取材!
ライターの眞弓莉沙子です!
愛媛県宇和島市の南、宇和海に面した津島町。東半分が山間地、西半分がリアス式海岸という自然豊かなこの町に、ちょっと変わった食の拠点があります。
その名も「津島あぐり工房 あすも」。
廃校となった旧宇和島市立浦知(うらしり)小学校の校舎を生かした地域交流拠点「楽校 うらしり」内で営業している、手作りの加工品や料理を通じて地域をつないでいるお店です。
今日はここへ、お腹を空かせてお邪魔してきました!

「ふれあいモーニング」を体験!
早速、建物内へ。小学校の内装がそのまま活かされていて、どこか懐かしさを感じます。

1階の奥へ進むと…ありました!「ふれあいモーニング」!廊下にずらっとお料理が並んでいます。バイキング形式で楽しめるこのふれあいモーニングで、まず驚くポイントはその価格。
なんと大人800円、小学生以下400円という破格のお値段です(※2026年3月現在。4月からは大人1000円、小学生以下500円となります。)。
地域の方に利用していただくことが目的のため、この価格設定なのだそう。お支払いは、セルフで行います。

早速、料理をとっていきたいと思います!
米粉パンや地元の旬な野菜などを使ったおかずなど、色とりどりのお料理が並びます。ごはんもちらし寿司や炊き込みごはん、白ごはん、カレーなど種類豊富。どれにするか悩みます…




悩みに悩み抜いて料理を取り、さてそろそろ食べようかと思った時に目に飛び込んできたのは、おでん!出汁のいい香りに誘われて、思わずプラスワンしてしまいました。
バイキングになると、料理を取りすぎてしまうのは何故なんでしょう…

おでんに添えるのは、南予地域で食べられる「みがらし味噌」。麦味噌に砂糖、酢、からしを練り込んだ甘辛い調味料です。この調味料も「あすも」で作られたものなんだそう!
いざ座席へ!1階の図書室でも食べられるとのことですが、今回は2階のランチルームに行ってみます。中へ入ると、窓からの景色にびっくり!なんと海を望めるではありませんか!


窓際の席をちゃっかり確保して、早速いただきます!


食べてみると、どの料理も優しい味付けで、お母さんが作ってくれたご飯を思い出します。じんわり心に沁みわたる味で、ほっこりするモーニングを楽しむことができます。



おでんは、もちろんそのまま食べても美味しいですが、みがらし味噌をつけて食べると、ピリッとした辛味を楽しめます。こんにゃくにつけるのが個人的にはおすすめです!

「津島あぐり工房 あすも」の加工品もご紹介!
「津島あぐり工房 あすも」には、地元の素材を使った手作りの加工品がたくさん揃っています。
特に人気の高い「元気もん」と「みかん完熟大福」は、店頭でももちろん販売されていますが、県内の道の駅や空港、また県外でも販売されています。

「元気もん」は地元のおばあちゃんから直伝された、大豆といりこをカラッと揚げ、醤油と砂糖でからめたお菓子。
昔から続く懐かしい味わいで、サクサクとした食感と甘辛いたれの香ばしさが口いっぱいに広がります。一度食べたらやめられない!

「みかん完熟大福」は、厳選されたSSSサイズのみかんを、白あんと求肥でやさしく包んだ一品。解凍前にカットして、30分ほど経った頃が食べ頃とのこと。
一口食べるとみかんのみずみずしい果汁が溢れて、白あんと求肥と絶妙にマッチして、とても美味しいです!

オンラインショップでの販売も行っているそう。どこにいても「あすも」の味を楽しむことができるなんて贅沢です…!
津島あぐり工房「あすも」の取り組み
美味しいごはんをいただいたところで、代表理事の山下由美さんにお話を伺います。

眞弓:まずは、「津島あぐり工房」を始めたきっかけを教えてください。
山下さん:農家女性4人で「次世代に伝統の味を残したい」「経済的自立をしたい」という思いからスタートしました。まずは農産物の加工品づくりからスタートしようということで、6次産業を主に進めてきました。
農産物の加工品作りから始まった「津島あぐり工房」。現在は、宇和島市内や愛南町内をまわる移動販売車の運営や食の体験教室の実施など、“食”にまつわる様々な事業を行っています。

眞弓:「あすも」は平成24年にカフェ事業としてスタートされたということですが、「ふれあいモーニング」を始めたのはいつからですか?
山下さん:実は「ふれあいモーニング」は、平成30年に起きた西日本豪雨災害がきっかけでスタートしたんです。その当時、私たちが住む津島町は被害が少なかったので、支援のために被害が多かった吉田町へ毎日お弁当を届けていました。吉田町の惨状を目の当たりにして、いざという時に助け合える環境を日頃から整えておくことの大切さを痛感しました。普段から地域の人同士が顔を合わせられる場所づくりをしたいと思い、月に2回「ふれあいモーニング」を開催することになったんです。
眞弓:近くに住む人たちと顔見知りになっておくって、思っている以上に重要ですよね。災害時はもちろん、日頃からも助け合える環境を作るということは、どの地域においても必要なことだと思います。
今後も「ふれあいモーニング」を通して、そのような環境づくりに取り組まれていると思いますが、他にも取り組んでみたいことがあれば、教えてください。
山下さん:この地域も人口減少が大きな課題で、若い世代って本当に少ないんですが、そんな中でも不登校や引きこもりの子は増えてきているんです。実はその中に、地域を支える若者がいるんじゃないかなと思っていて。
「あすも」でも、従業員の中に元々引きこもりだった子もいたんですが、今ではしっかりと働いて、お店で大活躍しています。本人も成功体験をして自信が戻ると、ご家族にも希望が生まれる。そういう循環をつくりたくて。なので、そういった子たちが活躍できる場所の提供も、今後はできればと考えています。
“地域の課題”と聞くと、どこか遠い話のように感じてしまいがちですが、山下さんの話を聞いていると、食卓のすぐそばに、解決の糸口があるような気がしてきます。
眞弓:最後に、山下さんにとって“まじめ”とは何か、教えてください。
山下さん:なりたい自分を決めてただ表現する!それだけです。それが結果として、外に現れる。そんなことをいつも考えています。
食事を楽しむ場所である以前に、人と人がつながる場所である「津島あぐり工房 あすも」。
食を通じて地域をつなぎ、さらに次の世代へ伝統の味をつないでいる、地域の温もりが詰まった場所でした。ぜひお近くにお越しの際は立ち寄ってみてくださいね!
津島あぐり工房 あすも
愛媛県宇和島市津島町浦知380
電話番号:0895-49-1317
営業日:第2・第4日曜日(祝日を除く)
営業時間:9:00〜12:00
*4月からは営業日と営業時間が、第3日曜日9:00〜13:00となります。
Instagram:@asumo.uwajima