居食屋 梅家

今回は新居浜市の繁華街・・・ではなく、住宅街にある地域の人に長く愛されている「居食屋　梅家」をご紹介します。

ライターを担当する山本清文です。愛媛県新居浜在住の私が10年以上通っている居心地の良いお店をご紹介します。

松山市から、高速道路西条インターチェンジでおりていただき、新居浜市内へ国道11号線を走ります。そこから市街へ向かわず住宅街へ。いつも常連さんで賑わっているお店。なかなか一見さんは入店し辛い！そんなお店だからこそ行っていただきたい、味わっていただきたいものがあるのです。

この赤いランプがオープンしている合図。
暖簾をくぐると、左手はカウンター。右手には個室が。2階もあり宴会スペースになっています。

梅家は元々定食屋さんとして、新居浜市の山根大通りにありました。そこを引き継いだのが、先代。お寿司職人だった先代は、これまでの定食メニューをベースに少しづつお寿司を取り入れていきました。移転し、現在の場所へ。

梅家のご主人。川元康敬さん。

先代が作ったお店を康敬さんが、さらにリニューアル。メニューを増やし、より多くの方に来ていただけるようにと今の形になりました。

メニューを見てみましょう。

もちろんお寿司！居酒屋メニューもあれば、定食、天丼、うどんまで！
これは、おじいちゃん、おばあちゃんからお孫さんまで幅広い年齢の方が集まるお店としてうってつけ。お酒を飲みに行くのはもちろんですが、お食事だけもお勧めです。いろんな使い方が出来るお店です。

お勧めメニューは季節ものが掲載されています。冬は新居浜名物「ふぐざく」も！

季節の旬がいただけるお勧めメニューは必ずチェックしていただきたいところ。 冬には新居浜発祥の「ふぐざく」がいただけます。

ふぐの切身、皮、ネギ、紅葉おろし、アン肝をポン酢で味付けした料理。身などをザクザクと刻んで 混ぜ合わせていることから「ザク」と呼ばれるように。

新居浜では、「ザク食べにいきますか？」で通じます（笑）。

美しく盛り付けられたふぐざくですが、豪快に混ぜちゃいます。
ふぐの身にアン肝と紅葉おろしが溶けたポン酢にしっかり浸ったところで、いただきます。
皮の部分と身の部分で、異なる触感。しっかりとした白身の触感、歯ごたえ。これが大きな魅力でしょう。
さらにお勧めはふぐの皮や身を食べた後に、その器に湯豆腐をイン！すべての旨味が凝縮したポン酢に豆腐が抜群の相性。まさに至福の一杯。お酒のおつまみとして最高の品です。

取材させていただいたのは残念ながら夏・・・。以前私がいただいた写真でご勘弁ください！（泣）
さて、今回ご紹介したいのは、ふぐざくだけではありません。 ざんきです。

新居浜の「ざんき」は、骨なしの鶏肉が基本となり、カリカリの衣で、 食べ続けても飽きない素朴な味が特徴といわれています。

それは鶏のからあげではないか？という疑問が。
そうです。その名前のルーツも諸説あるのですが、別子銅山で働いていた中国人から戦後に教わった、中国料理の鶏のから揚げが由来で、料理名の「ザーチ」が「ざんき」と聞こえた、という説も。

と、ウンチクはこの辺りにして・・・・。
気になるのはお味ですよね？？

ということで、熱いうちにいただきましょう。

サクッ！ジュワッ！！
自然と笑みが零れます。おいしい！！
口に広がる熱々のざんきの美味しさー－！
ジューシーな鶏肉からはほとばしる肉汁。絶妙の味付け。ほんのりと感じる甘みはお醤油でしょうか。ごはんにも、ビールにもあうこれぞ、ざんき！

さて、問題は居食屋・梅家さんの一番人気メニューざんき。
これは、どうやって作っているのか？何がはいっているのか？調味料はなんなのか？どれだけ漬け込んでいるのか？何日寝かせているのか？疑問がどんどん湧いてきます。
なかなかプライベートで来ているときに味の秘密は聞きづらい。 梅家さんはテレビ取材もNGとのこと。これはますますその作り方には秘密があるに違いない。ということで今回特別に厨房に入らせていただきました！

秘密は新鮮な国産の鶏肉！

ご覧ください、この鮮やかピンク色！厳選したフレッシュな国産の鶏肉。これはおいしいでしょう！素材が間違いない！

川元さん：じゃ、味をつけていきますね

山本：ん？味をつけていく？
川元さん：うちの味付けはしょうゆだけなんですよ

ええええええ！？

衝撃の味付けに驚くライター山本。

川元さん：そう。うちは漬け込んだりしないんです

と淡々と手慣れた手つきで片栗粉を付けてあげていきます。

綺麗な油で揚げていきます。

ご覧ください！この断面。これが梅家のざんきです！

そして、この唯一の味付けである醤油が、ポイントなのです。

今井醤油醸造所の醤油。これが味の決め手です。

移転前の梅家さんの近くにあった、今井醤油醸造所（新居浜市中筋町１-７-44）。なんと創業は明治34年。100年以上の歴史がある地元で愛されているお醤油。
伝統手法でもろみ造りにこだわり、じっくり天然醸造で一年半以上熟成されています。

川元さん：ずっと今井さんのお醤油を使わせてもらっています。うちは漬け込まなくても、このお醤油で十分おいしいざんきになると思います

いい素材が合わさって出来たざんき、その美味しさに納得！

こちらも人気メニューの串エビ。

梅家さんのメニューのもうひとつの人気メニューが、お寿司。その中でもお勧めなのが、よろず巻き。

今度は包丁を握る川元さん。動きも美しい！

無駄な動きが一切なく、巻きずしが出来上がっていきます。

よろず巻き完成！

ご覧ください！この具の量！ボリューム満点ですよね。
早速いただきます！

山本：すべての具材が口の中でハーモニーを奏でます！これはおいしい！！

海苔と酢飯も本格寿司店の味！贅沢な一本です。これだけでお腹いっぱいになってしまいます。お土産テイクアウトにもお勧めです。

と、外からワンちゃんの鳴き声が！？

川元さん：見に行きますか？

と、さっきまでの寿司職人の表情から一転！こちらが、看板犬のLEONと哀歌。
バーニーズマウンテンドッグで、体重は50ｋｇ前後の大型犬！
川元さんはこのワンちゃんと過ごす時間が至福の瞬間なんだとか。

川元さん：かわいいですよね。元々犬が好きで、いつか大型犬が飼いたくて探していたんです。コロナ前は、良くオフ会していましたね。九州から北海道までの会員頭数が1200頭のグループにも入っていて。県外によくいっていましたね
山本：意外な一面！
川元さん：バーニーズマウンテンドッグは、穏やかで、元々ミルクとか荷物を運ぶために出来た犬なんですよね。猟犬とかではないから大人しいんですよ

と、ニコーっとする川元さん。そして犬の知識がすごい。お話は止まりません！

川元さんが出てきて嬉しそうなワンちゃん。

バーニーズマウンテンドッグはベルギーの犬。

これはもう梅家のマスコット！家の中に入っていることもあるので、運よく出会えたらラッキーです！大きいですが、おとなしくてかわいいです！川元さんがワンちゃんにハマる気持ちがわかります！

川元さんにとってまじめとは？

川元さん：まじめですか？自分が美味しいと思ったものを出すということですかね。あとは、お客様がマヨネーズをいっぱいかけたり、塩や醤油を好きなだけつけてくださいって感じです（笑）
山本：自分自身がおいしいと思うものをまずはご提供する、ということですね
川元さん：元々、大阪の懐石料理をやっていた。高級料亭からスタートして、ホテルやいろいろなところで修行してきましたね。振り返ったら30年、この世界にいますから
山本：いろんなやり方を経て今があるんですね
川元さん：これからも、いろいろ試行錯誤しながら自分が自信をもってお店に出せるものを提供していきたいですね。ホームページとかも勉強して作ったので見てもらいたいですね

地元の太鼓台の写真！これぞ新居浜

来店したアーティストのサインも。

地元に根差し、新しいことにも挑戦し続けるまじめな料理人・川元さん。一方でワンちゃん大好きな一面も（笑）。
これからも、おいしい新居浜の味、作っていってください！