焼肉大協
人気サッカー漫画『アオアシ』の作中に登場した
焼肉大喬のモデルとなった「焼肉大協」に突撃
ライターの眞弓莉沙子です!
突然ですが、みなさんは漫画『アオアシ』をご存じでしょうか?
「週刊ビッグコミックスピリッツ」で大人気連載中のサッカー漫画『アオアシ』は、愛媛県出身の主人公・青井葦人(あおいあしと:以下、アシト)がJリーグ「東京シティ・エスペリオン」のユースチームへ入団し、プロ選手を目指して奮闘する物語。
スポーツ全般からきしだめで、サッカーのことも全くわからない私ですが、アシトが真剣にサッカーに向き合う姿に心を打たれ、全巻読破するほどのファンになりました。
著作者の小林有吾先生も愛媛県出身ということで、作中には県内のスポットが数多く登場します。こちらの「焼肉大喬」も実在するお店をモデルにしています。
この「焼肉大喬」が登場するのは、単行本31巻に収録されている第311話「宴は、焼肉」。
エスペリオン ユースチームがシーズン最後の試合を終えた打ち上げと、3年生引退の送別会を兼ねて訪れた焼肉店です。
今回は、そんな「焼肉大喬」のモデルとなったお店に突撃したいと思います!
50年以上続く老舗焼肉店
大好きなサッカーを通して地域貢献を目指す
松山駅から車で4分。
ピンクの看板が目を引くこのお店が『アオアシ』で登場したモデル店「焼肉大協」です。
早速、お店の中にお邪魔します!・・・とその前に、『アオアシ』31巻を開いて、外観をチェック。おお、漫画に出てくる焼肉店と全く同じ・・・
店内に入ると、『アオアシ』の作中で描かれている風景が!漫画と見比べながら店内をウロウロしてしまいます。さらにテンションが上がった私は、漫画のシーンと同じ場所・画角で一枚パチリ。特に、集合写真のシーンは漫画の中に入り込んだようですよね!
小林先生のサインも発見!
さて、聖地巡礼はこのくらいにして、三代目店主の李英樹(リ ヨンス)さんと若女将の徐慶禧(ソ キョンヒ)さんにお話を伺います。
眞弓:お店の歴史について教えてください
店主:今のお店がこの場所にできたのは、53年前です。
その前は別の場所にお店があって、別の経営者の方がお店を営業していたそうです。その方がお店を閉める時に、うちのおじいさんがお店を引き継ぐことになったのが、大協の始まりです。なので、前のお店はいつ頃から始めたのか、明確な年まではわからないんですよ。
おじいさんが引き継いでからは、昼に食堂をして、夜に焼肉屋をする、という形で営業していたみたいです
眞弓:元々は食堂もされていたんですね。
お品書きにも書いてありますが、「大協」が松山市で一番古い焼肉屋になるそうですね
店主:「大協」が開店した時、「おおさかや」と「もみじ」という焼肉店が先に松山市で営業していたんですが、その2店舗も今は営業していないので、うちのお店が一番古いみたいです。
実は「おおさかや」か「もみじ」を営業していた方のお孫さんが来店したときに、自分の父からは「大協」が一番古いお店だと言っていた、という話を聞いてわかったんです
若女将:なので、その話を聞いてからこのメニューにも“一番古い”って書くようになったんですよ。なんとなく人から伝え聞いて、自分達のお店の歴史を知っていくという感じです
ご自身のお店の歴史を人から伝え聞くというのには驚きました。でも、それだけ多くの人に「大協」が知られているということですよね。
実は「大協」は、愛媛県のJリーグチーム 愛媛FCを応援するお店。店内の至るところポスターやグッズなどが飾られています。なぜ、愛媛FCを応援するようになったんでしょうか?
店主:お店も古いし、この場所から離れる、ということもないので、地域に密着して貢献できることをするのが一番だと思ったんです。
僕はサッカーが好きで、愛媛FCの試合を見に行っていて。若女将を興味ないのに連れ出して行っていたら、どハマりして
若女将:元々、選手がお店の近所に住んでいらっしゃったみたいで、焼肉を食べにこられていたみたいなんです。うちにJリーグが好きな従業員がいて選手が来ているのも知っていたので、試合も見に行った時に顔見知りになる程度に親しくなっていたみたいで。
私もそれをきっかけに試合を見に行くようになって、選手のことがわかるようになってハマり出したんですよ
松山に古くからあるお店として、地域に貢献できることは何かと考えた時、自分たちが大好きなサッカーチームを応援して地域を盛り上げようと考えた店主と若女将。
トップチームとレディースの法人会員や、アカデミーのサポート等、献身的にサポートしています。
『アオアシ』で登場する焼肉店のモデルとなったのも、愛媛FCがきっかけだったそうです。
店主:小林先生が愛媛FCの大ファンだということは知っていたので、サインをいただけないかと淡い期待をしていて。先生がいたらいいなと思い、愛媛FCの試合日にわざわざエスペリオンのユニフォームを着て試合会場を歩いて、アピールをしてみたりして(笑)
若女将:それで結局サインはもらえなかったんですけど(笑)
そんな話を愛媛FCの他のサポーターさんにしたら、その中の1人に先生とお知り合いの方がいたんです。話をしてみたら、小林先生も私たちのお店をご存知だったようで、「漫画で取り上げさせてください」とご依頼があって掲載に至りました
愛媛FCが繋いだご縁!まるでドラマのような展開でとても素敵です。
驚くべきは“厚さ”!
「焼肉大協」ならではのお肉の切り方
眞弓:早速焼肉を食べたいなと思っているのですが、人気のお肉やおすすめがあれば教えていただけますか?
店主:おすすめとかはあまりしていないですね。自分の好きなお肉を食べるのが絶対いいですし。だから、セット販売とかもしていないんです。単品で好きなものを食べる方がいいと思うので
眞弓:確かに、好きなものを好きなだけ食べる方がいいですね!
ちなみに、それぞれの席に「ホルころ煮」をおすすめする張り紙があるんですが、これは・・・
若女将:これ実は、うちのお母さんが昔作っていたもつ煮を、大協でアルバイトしていた従業員が若頭として、アレンジして作っているメニューで、このお店以外にキッチンカーでも販売している商品なんです
店主:息子が試験的に店で提供したいということだったので、出しているんですが、別にうちのおすすめ品では・・・
眞弓:ええ!どの席にも張り紙が貼ってあるので、おすすめなのかと思いました!
若女将:若頭の宣伝です(笑)
店主:なので、僕自身がおすすめするメニューではないですね(笑)
全座席にこの張り紙があるので、てっきりおすすめ商品だと思っていた「ホルころ煮」。店主はおすすめではないとのことですが、お味が気になるので、注文してみます。その他、上タン、バラ、ハラミ、韓国ラーメンをオーダー。
どんなお肉がくるのかワクワクしながら待っていると、まずは上タンが運ばれてきました。あれ、普通のタンと比べるとあきらかに・・・。
眞弓:分厚いですね!
若女将:うちの店、おすすめはないですけど、特徴としては他のお店よりお肉を厚く切っているところです。スライサーなどの機械を使わず、手で切っているので結果として厚くはなっているんですけど。特にタンは、これだけ厚く出しているところはあまりないと思います
店主:あと、うちのおじいさんが「お肉は口にいっぱい頬張った方が幸せだから」とずっと言っていたので、その考えに則って厚く切るようにしています
タンがこんなに分厚いのは初めてです!早速焼きましょう!
この音がさらに食欲をそそりますよね!
さて、そろそろ焼けたのでいただきたいと思います!
厚さもそうですが、1枚が結構大きいので口の中がお肉でいっぱいに!
お肉が柔らかいので、食べやすくて、本当に幸せ!
続いて、若頭イチオシの「ホルころ煮」!
張り紙によると、ホルモンを大協の秘伝のタレで煮込んでいるそう!
甘辛く煮たホルモンがとても美味しい!これはお酒のおつまみに最高だと思います!
例に漏れず分厚いバラとハラミも焼き上げます。どれもとってもおいしい!
締めには韓国ラーメン!
ぐつぐつと音を立てていて、お肉をたくさん食べたのに、なんだかお腹が空いてきます。
大協はお肉のメニューはもちろん、サイドメニューも充実しています。
三代目店主がお店を引き継いでからサイドメニューの数を増やしたそう。お肉と一緒に食べるのがサイドメニューだからと、あまり濃い味付けにならないように気をつけているのだとか。
熱々でおいしい!胡椒の辛さがクセになるーー!この味がお肉のあとに食べる麺として、とてもちょうどいいです。
老若男女、みんなが楽しめる焼肉メニュー、お腹いっぱいいただきました!
「大協」が考える“まじめ”とは
眞弓:最後に、「大協」を営むお二人が考える“まじめ”について、教えてください
店主:飲食店にとって大事なのは、おいしいものを提供する以前に、食中毒を出さないこと。食べて不快になるものは出さないように気をつけています。安全な食事を提供するという基本的なことが守ることが、“まじめ”であることじゃないかなと考えています
初心忘るべからず。基本に忠実であることが、長年続けてこられている秘訣にもつながっているように感じました。
漫画『アオアシ』で登場した焼肉店は、地元を愛し、また地元に愛される素敵なお店でした!
松山で焼肉を食べるなら、ぜひ「焼肉大協」へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
🄫小林有吾/小学館
焼肉大協
住所:〒790-0813 愛媛県松山市萱町3-2-1
電話番号:089-931-3866
営業時間:17:00〜23:00(L.O. 22:30)
定休日:火曜