“地域の個性”をポン菓子にのせて

ひなのや 丹原本店|耕

昔なつかしい駄菓子としての印象が強い「ポン菓子」。愛媛県の東部に位置する東予地域で婚礼引菓子としても用いられていたこのお菓子を、新しいかたちで全国に届けている「ひなのや」の魅力を徹底調査!

ライターの眞弓莉沙子です!

愛媛県西条市丹原町。西日本最高峰・石鎚山の伏流水に恵まれ、見渡す限りの田んぼと山、そして広い空が広がる自然豊かなこの町に、全国から注目を集めるポン菓子専門店があります。

その名も「ひなのや 丹原本店|耕(たがやす)」。
代表の玉井大蔵さんの曽祖母が住んでいたという、築年数の経った古民家を改装した店舗は、周囲の風景に溶け込んだ静かな隠れ家のよう。

どこか懐かしさを感じさせつつも、洗練されたデザインが光ります。

お店には工房も併設されていて、ポン菓子を作っている様子を見学することができます。時折「ドン!」という爆発音が店内に響き渡ります。

地域の個性を伝える、こだわりのポン菓子

「ひなのや」という屋号には、「ひなび(田舎の美しさ)」という意味が込められています。

都会の「雅」と対をなす田舎ならではの美しさを、美味しく、楽しく、カジュアルに伝えたい、という想いがのったお菓子は、現在では北海道から九州まで全国各地の生活雑貨店や百貨店などで取り扱われています。

本店内の棚には、ポン菓子やグラノーラ、サブレなど、可愛いパッケージに包まれたお菓子がずらり。ポン菓子は定番の「キャラメルナッツ」や、愛媛らしい「伊予柑」、そして季節限定のフレーバーなど、常時10種類ほどが並びます。

一般的なポン菓子のイメージを覆すほどのバリエーションと美しさ。

そのこだわりは、何よりも「お米」にあります。使用するのは、地元・西条で収穫された契約農家のお米のみ。しかも、ポン菓子メーカーとしては珍しく「新米」を使用しているのだそう。味付けにもこだわり、愛媛の伊予柑や、新宮村のかぶせ抹茶など、地元の素材を積極的に取り入れています。

愛媛の素材を味わうテイクアウトメニュー

「丹原本店|耕」ではポン菓子だけでなく、愛媛の素材を使ったテイクアウトメニューも見逃せません。

お庭の縁台やベンチでのんびりと味わえるのも、この場所ならではの楽しみ方です。それでは、中でも人気のメニューをいただきます!

まずは「かき氷 ほうじ茶」から。
4月下旬〜9月中旬 季節限定商品で、四国中央市新宮村の希少なやま茶のほうじ茶を使用したかき氷。

一口頬張ると、香ばしいほうじ茶の風味が口いっぱいに広がります。ふんわりとした氷は口の中ですっと消えていき、中には生乳ソフトクリームが。上には最中とポン菓子がのった、見た目も味も贅沢な一品です。

続いては「ひなのやパフェ “キャラメルコーヒー”」。こちらは通年人気のメニューです。

生乳ソフトクリームにエスプレッソソースをかけ、上にはコーヒーゼリーと最中をトッピング。ひなのや定番の「キャラメルナッツ」ポン菓子がパフェの上と下に入っており、ソフトクリームの優しい甘みとエスプレッソソースの苦味が絶妙にマッチ。

ポン菓子のサクサクとした食感がアクセントになった、ひなのやならではの一品です。

ポン菓子のイメージを覆した「ひなのや」 商品に込めた想いとは

こだわりのポン菓子について知ったところで、代表の玉井さんにお話を伺います。


眞弓:2010年から創業された「ひなのや」ですが、このお菓子が誕生したきっかけを教えてください。

玉井さん:実家がこの町で農業機械の販売店をしていて、20代後半でUターンして家業に入りました。その時、高齢化で農業を続けられなくなったお客様から田んぼを借りて、自分でお米を作ってみたんです。でも、普通に作って売っても、当時はお米が安かったので、採算が取れない。それならお米に付加価値をつけようと、加工品作りを始めたのがきっかけです。

眞弓:そうなんですね。最初からポン菓子に着目していたんですか?

玉井さん:最初はフルーツ大福などを作っていたんですが、生ものはロスが多くて。そんな時、アドバイスをもらって日持ちのするポン菓子を作ってみたら、案外売れたんです。

眞弓:今では全国の雑貨店などでも販売されていますよね!

玉井さん:ありがとうございます。食品スーパーなどではなく、あえて生活雑貨店などを中心に展開しています。ただのお菓子としてではなく、「普段の暮らしを少し上げてくれるもの」として出会ってほしいんです。

眞弓:味や品質もさることながら、暮らしの価値観も提供しているのが「ひなのや」の特徴なんですね。愛媛で作られたお菓子が、このように全国で人気を誇っていると思うと、なんだか嬉しく感じます!

玉井さん:僕らの世代は『頑張って勉強して、都会でいい会社に就職することが成功』みたいな価値観が広がっていて、途中で地方に戻るとその成功ルートから外れてしまったように思われることもしばしばありました。

今はだいぶそんなことも少なくなってきているとは思いますが、よくある地方と都市間で感じる価値観の距離を少しでも縮めたい、と思ったんです。地域で伝わる文化や食材の魅力を「ひなのや」を通じて伝えたいですね。

眞弓:「ひなのや」が誕生してから16年が経ちますが、続けていてよかったと思う瞬間はありますか?

玉井さん:近くの小学生がよく社会科見学でうちにきてくれることがあるんですが、その子達が大きくなって、大学進学などで都会へ出ていった時に「ひなのや」が販売されていたと嬉しそうに話してくれたことがあって。

県外へ出て頑張ろうとしている彼らのそばにいられるお菓子になったんだと思うと嬉しく思います。

眞弓:長年続けているからこその出来事ですよね。最後に、玉井さんにとって“まじめ”とは何か、教えてください。

玉井さん:「“まじめ”に外していく」ことですね。前例や業界の枠にとらわれず、既成概念の枠外から価値を創出する。それを“まじめ”にやっています。

ポン菓子という昔ながらのお菓子を通じて、愛媛・丹原の魅力を全国に伝え続ける「ひなのや」。

「“まじめ”に外す」その姿勢から生まれる商品は、これからも私たちの暮らしを楽しく、美味しく彩ってくれるのではないでしょうか。ぜひお見かけの際は、手に取ってみてくださいね。

ひなのや 丹原本店|耕

住所:愛媛県西条市丹原町高松甲925-2
電話番号:0898-68-0833
営業時間:10:00~16:00
営業日:木〜土曜、不定休あり
※詳しい営業日は、お店のインスタグラムからご確認ください

Instagram:@hinanoya.pongashi


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